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2014年3月16日 (日)

植物に頼らなければ生きられない私たち?

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 足尾・森びと広場で一番早く咲く花は水仙です。日光市に住む柴田さんが数年前に植えてくれた水仙が、毎年私たちを和ましてくれます。今年も間もなく芽を出してくれそうですが、今年は残雪が多いのでいつもの年よりも若干遅いのでしょう。

 足尾にはウサギ、猿、鹿、ネズミそしてモグラ等が生息しています。水仙以外の植物はそれらの動物のエサの一部になっていますが、水仙だけは害に遭っていません。動物たちには嫌われているようです。以前、柴田さんは「水仙には毒があって動物は食べない」と言っていました。また、事務局の水落君は以前、「ニラと間違えて水仙の葉を食べると下痢や嘔吐がする」と言っていました。足尾の植樹では、低木の木としてアセビ(馬酔木)を植えていますが、この木も動物の食害に遭いません。動物に嫌われる何かがあるようです。

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 そんなわけで『植物はすごい』(田中修著・中公新書)、『うまい雑草、ヤバイ野草』(森昭彦著・サイエンス・アイ新書)を読んでその訳を調べてみました。

P4204263_640x480  結論は、水仙もアセビも有毒物質で食害から身を守っているということでした。水仙には、ガランタミン、リコリン、タゼッチン等が球根や葉に含まれています。馬酔木には、アセボトキシン、グラヤノトキシンという有毒物質が含まれています。

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  植物はこの他に、刺、汁、香り等で身を守り、子孫を残しているそうです。人間は、この植物の素晴らしい生き残りをかけた仕組みを暮らしに活かしています。例えば、ヒガンバナは田んぼの畔や墓の周辺に生えています。それは田んぼや墓にモグラやネズミを寄せ付けないためです。先人は、ヒガンバナの球根に含まれているリコリスという有毒物質に私たちの主食や先祖の魂を守ってもらいました。

 これから新緑が眩しくなるころは太陽光に紫外線が多く含まれています。私たちは帽子を被ったりして皮膚がんを防いでいます。紫外線は身体や葉にあたると、「老化を急速に進める」と言われている活性酸素という物質を発生させます。その代表的なものにスーパーオキシド(植物を枯らす農薬に使用)と消毒液のオキシドール(過酸化水素)があります。ご存知のようにオキシドールは傷口の細菌を殺し、スーパーオキシドはごく微量でも飲んでしまえば命は失われると言われています。植物は、この有害な活性酸素を消去するために、抗酸化物質(ビタミンCとビタミンE)をつくっているそうです。当然、私たち人間も活性酸素を消去していくために、このビタミンCとEを含んだ野菜や果物を摂取しています。このようなことを知ると植物には頭が下がります。

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 先人は大昔から、森の中で植物の身を守る知恵、子孫を持続させていく工夫を観察し、暮らしに取り入れてきました。東日本大震災・フクシマ原発事故を経験した私たちは、改めてこの植物たちの素晴らしさに感謝し、間もなく訪れる森の恵みに頼らなければならない時代へ向けて、暮らし方を変えなければならないようです。(理事・高橋佳夫、スズメの写真は森とも:大橋新さん)

 




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