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2014年8月

2014年8月 1日 (金)

人間には及ばない植物の智慧を暮らしに活かしたい

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 今や栃木県内では幻となってしまったチタケ(チチタケ)。チタケは夏のキノコで茄子との相性がよく、油炒めをしてうどんの汁をつくる。栃木県人の多くはその味の美味しさにまいってしまい、チタケが出る時季をそれは楽しみにしている。チタケを傷つけると白い乳液みたいな液が出る。美味しい味の素は、この“乳液みたいな液”にあるような気がする。

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 写真のようにタンポポの花柄を折ると白い液がでる。他にも白い液を出す植物は見かけるが、今が旬なのはイチジク。北関東では間もなく庭先のイチジクが美味しい実を熟すが、この実を採るとタンポポと同じような白い液が出る。液はベタベタし、少し苦みがる。これには虫たちも嫌がり、近寄らないようです。

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 『植物はすごい』(田中修著・中公新書)によると、この「液にはタンパク質を分解するフィシンという物質が含まれている」と書かれている。フィシンはタンパク質を分解(「肉のタンパク質が分解される」)するといいますから、虫の体はタンパク質で構成されているので、当然、虫はこの液には近寄らないと思う。

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 植物の遺伝子を守っていくために植物は、刺をつけたり、液を出したり、苦みをつけたりするなどその戦術には頭が下がる。人間はその物質に酔ったり、助けられたり、美味しさを味わったりしている。

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 暑い時季、寒い時季、乾燥地や湿原そして高地や低地などで誕生した植物が、遺伝子を守り抜くための試行錯誤がその戦術となっている気がする。その恩恵を授かって人間の遺伝子も守られている。そして植物を餌とする虫たちから食物連鎖が始まり、生態系が保たれている。その一員でしかない人間は植物と共に、いのちを守る営みを暮らしの基底に据えなければと思う。

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 地球上では想像できない異常気象が各国を襲い、尊い命が奪われ、被害が相次いでいるというのに、人間社会では一部の人たちが市民・農民・子供たちの命を奪い合っている。日本でも「積極的平和主義」の名のもとに、「集団的自衛権」の行使ができるように法整備が行われようとしている。

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 本当に国民の命と暮らしを守るのか、「積極的平和主義」の擬態を見抜いて、原発に頼らない森と生きる暮らしを営まなければと思う。人間には遠く及ばない植物の智慧に、緑に、我々のいのちは支えられているのだから。(理事 高橋佳夫)