2020年10月27日 (火)

「地球びと」の“持続可能な生存目標”を描き実現したい

 25日、南相馬市の市民170名は9年前の東日本大震災とフクシマ原発事故で犠牲となった市民を慰霊しながら、“ふるさとの木による命を守る森の防潮堤”に2千本の木を植えた。

Photo  東日本大震災で被災した女川市漁協関係者や経済界の一部市民は女川第2原発の再稼働を県議会に要請し、県議会はその要請を認めた。新聞報道では、女川市の「人口減で経済が疲弊している」、「理想だけでは生きていけない」等の声が再稼働要請の理由らしい。市民の命よりも経済を優先するという。

 東日本大震災とフクシマ原発事故から10年を迎えようとしている時に、一方では、何百年も全生物の命を育む森を育て、他方では、何百年以上も全生物の命を脅かす原発に依存しようとしている。 

Pa243509  菅総理の所信表明(10/26)でも温室ガス排出2050年実質ゼロの中身は経済成長と原発依存だった。政府の経済成長はどこにおいているのか分からないが、新型コロナウイルス感染以前の経済回復を目指しているならばそれはあり得ない。生物社会に生存する不思議で謎多い生物は、「灼熱の地球」に適応した宿主を探しながら変異する。生物社会の一員である私たちは、不思議で謎多い生物たちと向き合ってこそ生存が可能である。

Photo_2  永久凍土が溶解し、南極、北極の氷も溶けだしている地球上でやらなければならないことは、私たちの生存と経済活動の基盤を持続可能にすること。経済活動はその可能性が見えてくるまで自粛しなくてはならない。この中で生存を可能にする「新しい日常」を見出していくことを見失ってはいけない。 

Photo_3  “地球びと”という視点に立って、私たちは“持続可能な生存目標”を実現するという政策(松明)を掲げる政治に期待したい。私たちは木を植え、有権者としてのアクションも始動せねば!(理事・高橋佳夫)

2020年10月21日 (水)

「生物多様性」の森は一本の植樹からはじまる

 10月の森作業の帰り道。この日は国道122号線の旧道“細尾峠”を超えて帰ることにしました。12㎞のつづら折りの細道です。1978年3月に日足トンネルが開通するまでは足尾と日光を結ぶ主要道路でした。

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 日光「いろは坂」に負けない急カーブが続き、峠の頂上に着くと道の両側に森が広がっていました。通過するだけで降車したことが無かったので、車を止め森内の散策をすると、林床には笹が生い茂り、ミズナラやブナの木が天に伸びていました。

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 足尾銅山周辺の森の木々は坑内の支保抗や燃料として伐採されたと聞いていたのでおどろきました。ひときわ太いブナの木を見つけ、幹の直径を図ると70㎝ほどありました。標高850mほど、1年に2㎜の生長だと樹齢175年、1㎜だと350年です。“森びと”が植樹を始めた「臼沢の森」と標高が同じなので、煙害や山火事が無ければ足尾の山々にはミズナラとブナの巨木の森が広がっていたのだろうなと想像しながらブナを観察しました。

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 ブナの裏に回りビックリしました。この時季にはいるはずがないと思っていたミヤマクワガタがとまっていました。本物を直に見るのは夏休みにクワガタ取りをしていた子供時代、45年以上前になります。成虫が地上に出てくるのは7月~8月、地上にでてからの寿命は1カ月程度と言われるので、夏の長雨で季節を間違ってしまったのか、気候変動は虫の世界にも及んでいるのかと心配になりました。(ミヤマクワガタは写真に収めるだけで採取はしていません)

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 10月15日(木)の毎日新聞で元村有希子論説委員が「生物多様性の保全」について取り上げた記事が載っていました。記事では『個性豊かな生き物が共生する「生物多様性」を保全する取り組みが進まない。各国が合意した20のゴール「愛知目標」は最終年の今年、達成できた項目がゼロという残念な結果となった。』と日本の取り組みの現状を伝えています。『今後のヒントになるのは、里山の再生を目指す日本各地での活動だ。人々が暮らしの中で利用し、手入れしながら守ってきた里山は、私たちが生物多様性を身近に感じられる貴重な環境でもある。』と課題を投げかけています。

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 「生物多様性基本法」(2008年6月6日制定)の第十四条で『国は、地域固有の生物の保全を図るため、我が国の自然環境を代表する自然的特性を有する地域、多様な生物の生息地又は生息地として重要な生物の多様性の保全上重要と認められる地域の保全、過去に損なわれた生態系の再生その他の必要な措置を講ずるものとする。』とあります。

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 かつて養蚕が盛んで農作物を収穫し生活を営む村民が暮らした松木村。煙害や山火事で「生物多様性」を失った足尾の山々、そのふもとにある旧松木村での植林を初めて15年。1年目に植えた苗木はすべてシカとウサギにかじられました。しかし、翌年春には芽を出し、食害を防ぐことの大切さを教わりました。木々が生長するとそこに生息する虫や鳥が増え、風や動物が運ぶ種が活着し森の仲間を増やしていきました。現在、森びとの植栽地では命の営みをする生きものの姿を見ることができます。

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 元村論説委員は記事の最後に『生物多様性が失われると、その悪影響は、生態系の一部である人間に確実に及ぶ。10年を実効性のある行動につなげるための努力が求められる。』と国や私たち市民に投げかけています。国の検証結果は「達成できた項目がゼロという残念な結果」かもしれないが「過去に損なわれた生態系の再生」は木を植え、育てることで「実現が可能だ」ということを15年の森づくりが示しているのではないか。オオムラサキが舞い、ミヤマクワガタが暮らす渡良瀬川源流の森、“未来の宝”へ育てていくのも私たち人間の責務である。

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(筆者・清水 卓)

2020年10月10日 (土)

秋の夜長に星を見て、味覚、聴覚、視覚を磨く

 先日(10/8)、足尾・松木沢で熊の話を聞いた。冬眠する前に、山を何十㌔も歩いて体力をつける。母熊は2年間、子熊を連れて森の味覚と季節毎の食べ物、そしてその場所も教えているらしい。11月近くになると、熊たちは中禅寺湖や湯ノ湖に流れ込む沢に遡上する鱒を狙っているという。

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「Go Toイート」で観光地のレストランや街の商店街の店は賑わっている。その賑わいは、熊のように冬支度ということではなく、行政からの動員に応えているように思える。

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 美味しさや場所はインターネットで配信された通りに人は動き、人気のある店の味を楽しんでいる。秋の味覚はどんなものですか、と訊かれても「○○です」と答えられる若者たちはどのくらいいるのだろう。熊はどんぐりが不作の時は、どんぐり以外の実が食べられることも子熊に教えている。その道順も教える。だから2年間も連れて歩くのかと思う。

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 人間社会では、味覚はコンビニで売っている物や食堂で食べる物で教えられることが多い。季節は関係なく、何時でも食べられるようになった食材に慣れた味が若者たちの味覚になっているのかもしれない。

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 足尾に植えた栗、渋柿が今年も猿に食べられた。秋の味覚と訊かれて、「栗や柿、イナゴの佃煮」と答えられることが嬉しい。味覚という五感のひとつは“いざという時”に役立つ。五感は体験を積重ねないとその力を発揮しない。足尾の秋の星空を見ながら、五感を磨けることが有難い。(理事・高橋佳夫)

 

2020年9月30日 (水)

脱炭素社会への本気度を私たちから

 9/25、有志の学生によるネットワークが主催して、日本各地で政府に対して気候変動に迅速な対策を求める「シューズアクション」が開催されました。

Buz_origin_1_1_thum8001  EUのフォンデアライエン欧州委員長は16日のEU一般教書演説で、2030年に域内の温暖化ガスの排出量を、従来の40%減から引き上げ、1990年比で少なくとも55%減らすと表明した(時事通信 9/22)。

20200921at32s_p_1  中国の習近平国家主席が22日、国連総会一般討論でのビデオ演説で、2060年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を目指すと表明した(東京新聞 9/23)。

K10012631631_2009232150_2009232156_  国連のグテーレス事務総長は、「世界経済の脱炭素化を加速する必要がある」として、各国政府に対して、化石燃料を生産する産業に対する補助金をやめて、貧しい人々の雇用創出に資金を充てるよう呼びかけました(NHK 9/25)。

 世界の主要国の排出量は、2017年時点で二酸化炭素に換算して約328億トンに達しています。1位が中国の28.2%、アメリカ14.5%、インド6.6%、ロシア4.7%、そして5位が日本の3.4%です。

Chart03_01_img01_1  二酸化炭素排出量世界5位の日本は、今月3日に環境対策の国際会議を開催しました。国連のグテーレス事務総長はその会議へのビデオメッセージで、今世紀中の地球の温度上昇を1.5度以内に抑えるには世界の温室効果ガスの排出量を2030年までに半分に減らし、2050年までにゼロにする必要があると改めて強調しました。そして、「目標の達成は可能だがめどは立っていない」として、温暖化対策の現状に厳しい認識をしました」、「合わせて7100万人が暮らす151の地方自治体が、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする目標を支持している」と述べ、国内での温暖化対策の意識の高まりに期待を示しました。そのうえで、「海外の石炭火力発電所への融資をやめ、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることや、石炭の使用を段階的に減らして早期にやめるとともに、再生可能エネルギーの割合を大幅に増やすことを心から期待している」と述べ、日本政府が主導して温室効果ガスのさらなる削減に取り組むよう求めました(NHK 9/4)。

146443f58e921e6178dc2ffe3936b43b1  日本は、菅総理大臣の国連総会へのオンライン演説では、これらの問題について一切触れませんでした。日本は2030年に2013年度比26%の削減目標を掲げていますが、1990年比ではわずか18%にしか過ぎず、消極的であると受け止めざるを得ません。さらにこの目標には原子力発電や化石燃料による発電が含まれています。

 そのような中、「2050年までにCO²排出ゼロ」を宣言する自治体も増えてきました(今日現在、26自治体)。実家のある神奈川県相模原市では政令指定都市として初の気候非常事態宣言を表明しました。

D2353567de9533be61864bd4fd158a60  私たちは、15年間木を植えることを通じて、ほんの僅かかもしれませんが地球温暖化にブレーキをかけてきました。しかし、それだけでは追い付かないほどのスピードで、日本で世界で生物の生存を危ぶむ異常気象が常態化しています。今後も森づくり活動を継続しながら、地球温暖化にブレーキをかけていくとともに、培った心を磨き上げ、各地域で志を同じくするすべての人々と連携を図り、政治にも訴えていかなければならない。

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(東京事務所・小林敬)

2020年9月20日 (日)

自然薯の恵みを共有できる喜びを味わいたい

 今の夏も酷暑で農作物生産に影響が出て、一部野菜が高騰した。我が家の柿も落ち始めている。大雨被害が遭った地方では肥沃な土がダメージを受け、住宅の不安や森が衰弱している。

202009  毎年梅雨があるように、大雨や暴風が毎年大暴れしている。人や生きものたちの命を育む営みのリズムが狂ってきていると思う。今までの暮らしのリズムといった日本人の当たり前の四季が変化している。 

202009_2  私の若い頃は、晩秋の訪れを楽しみにしていた。葉が枯れて落ちないうちに、その弦に目印をつけていたのが自然薯。今頃の時季は、枯れた弦に付いている「ハナタカメン」を探し、それに唾を付けて鼻の上に乗せて遊んでいた。弦に、ムカゴが付いているとラッキーで、家で美味しくいただいた。 

Dscn3523  乾いた土が好む自然薯だから、雨水が溜まらない所の自然薯を探していた。古希を過ぎて、実家付近で自然薯探してみたいと思っているが、想定外の異常気象で自然薯か好む土壌が心配だ。

20200921  コロナウイルスに負けない免疫力を付けていくためにも良いのではないかと、自然薯の恵みを頂きたいと思っているが、自然界のしっぺ返しは半端ではない。数年かけて食べ頃に生長し、私たちの免疫力を恵んでくる自然薯。その生長の土台を壊している人間の暮らしと経済活動。自然薯の恵みを継続していくためには、周囲の森を元気にしていくことを考え、できることを実行していきたい。

Photo  貴重となった自然の恵みを掘ることができたら、仲間たちとその恵みに感謝したい。(森びとAD・松井富夫)

2020年9月11日 (金)

「公害の原点」を「未来の財産」へ。源流の森を育てよう!

 渡良瀬川下流、かつて田中正造が鉱毒被害民と共にたたかった“谷中村”のある渡良瀬遊水地で、5月末にコウノトリが二羽誕生しました。ヨシ原の広がる湿地帯にエサとなるドジョウやカエル、小魚、ミミズなどが増え、生態系が回復してきていることがわかります。8月には巣立ちが確認され、遊水地内や付近の田んぼで生活を送っており、あと1カ月ほどで親の元を離れ飛び立っていくといいます。

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 谷中村民の暮らした場所には、大きく生長した桑の木が生え、実生も多く生えています。当会が2016年に開催した「足尾・ふるさとの森づくり」に渡良瀬遊水地のある野木町の「野木町煉瓦窯を愛する会」の皆さんが参加。会の皆さんが育てた桑の幼木を、養蚕が盛んだった旧松木村・「民集の杜」に植樹してくれました。

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 現在、大きなものは2mほどに成長し、6月には桑の実を付けました。「民集の杜」内では入口付近の桑の木に実が鈴なりとなり、熊が食事に来ていました。

 

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 一度壊した自然を取り戻すには、多くの人間の努力が必要です。緑(木々)が増えるにつれそこで暮らす虫や動物、風などが加勢してくれることを15年の森づくりで学んできました。渡良瀬川源流部と下流の自然が少しずつ回復していますが、気候変動はその回復のスピードを超えて進行しています。

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 9月9日、環境省の有識者会議は地球温暖化に対する「評価報告書」をまとめました。

コメの収穫量やマグロの漁場に変化が生じ、豪雨で物流や製造業の被害も増大するなど、評価した70項目のうち7割程に「特に重大な影響」が及ぶと予測し、政府に強化対策を求めています。台風の勢力増大などによる河川の氾濫や、高潮による浸水リスクが高まると分析。損害保険金の支出が膨らみ、商業施設や工場の休業、サプライスチェーン(調達・供給網)の寸断による損失が増える恐れを指摘。熱中症の死者や救急搬送はさらに悪化すると予測。今世紀末には東京と大阪で「日中に屋外で働ける時間が今より30~40%短くなる」と見積もっています。

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 コロナ後の世に「経済回復」を急ぐあまり、温室効果ガス排出が増大しては本末転倒です。

9月4日(1913年)は田中正造翁の命日でした。「公害の原点」と呼ばれた足尾の荒廃地を「未来の財産」とするために、1本でも多くの木を植えよう。

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(筆者 清水 卓)

2020年8月30日 (日)

生物社会から学ぶ人間社会の常識

 足尾で森作業しているとカラスやモズの雛が親に餌をねだる声が聴こえる。餌の虫は木々の葉を食べている。その虫を採って雛に与えている親鳥。葉を食べている虫が鳥の命を育んでいる。と同時に、鳥は虫の害から森を守っている。私たちの森作業と同じような作業をしている。

Photo  足尾にもオオスズメバチが飛んでくる。刺されると命が危ないので人間にとっては厄介な蜂だ。養蜂家にとってもニホンミツバチを襲うスズメバチは厄介だ。ところがオオスズメバチは日本の森を外来種から守っているという。

Photo_2  長崎県対馬島内には中国からツマアカスズメバチが飛来している。このスズメバチの侵入を妨害し、生息地拡大に抵抗しているのがオオスズメバチ。ツマアカスズメバチの天敵として奮闘しているという(国立環境研究所・五箇公一氏)。厄介な蜂だと思っていても、生物社会のなかでは重要な役割を果たらしている。森と人と蜂(虫)のつながりが嬉しい。

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 悲しいかな、人間社会では生物社会の協働作業が見えない。誰もが待ち望んでいる新型コロナウイルスのワクチン開発。各国で莫大な税金が開発企業に投入されているが、商品が開発されれば、その開発会社は独占的に利益を得る。ところが貧しくても税金を払った人たちにはそのワクチンが手に届かない。今になってもPCR検査は有料な日本。(理事・高橋佳夫)

2020年7月30日 (木)

森びととしての「グリーンリカバリー」を今後も進める

 古代中国で考案された季節を表す方式の七十二候によると、7月28日~8月1日頃を土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)と言うそうです。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、マスクをすることが、あたりまえになり、不快な日々、不安や恐怖を感じて日々生活をしているのではないでしょうか。とかく滅入りがちですが、「うつらない・うつさない」よう予防をしながら、日々を過ごしていきたいものです。

20200729_160744_2 先日、当会顧問の山崎誠衆議院議員が、日経新聞のインタビューとして再生可能エネルギーについて、コロナ後の社会をどのように再興していくか、その際のエネルギー政策の重要性を訴えている記事が掲載されていました。世界ではコロナ禍からの復興をグリーン政策で実現しようという「グリーンリカバリー」という政策パッケージが提起されています。脱炭素社会の実現に向けた投資により経済の復興を実現、その柱になるのが再生可能エネルギーの利用拡大、再エネ100%を目指す動きです。日本も当然、この世界の潮流に乗っていかなければなりませんが、安倍政権はいまだに原発、化石燃料依存から抜け出そうとしていません。再エネを拡大するといっても目標設定が間違っているために投資も伸びず、結果として世界から大きな後れをとっている状況です。立憲民主党ほか野党が提出した原発ゼロ基本法では、明確に2030年に再エネの比率を40%以上、原発ゼロの方針を明記。さらに現在はCO2を大量に発生する石炭火力発電もゼロという目標を掲げて政策を取りまとめているそうですので、実現させていきたいものです。20200730_063210_2

 新型コロナウイルス感染拡大は、生態系の破壊や気候危機によるものが多いと思います。例えば、都市中心の社会、行き過ぎた新自由主義による格差拡大、大量生産・大量流通に依存していることが挙げられます。中央集権的なシステムから地域分散型のシステムへの転換が必要だということです。私たちは特効薬がない中、新型コロナウイルスもそうですが、未知の感染症と共存していくしかならず、頻繁に甚大な自然災害が襲うことも考えられます。まさに、日本も世界も大きな歴史の転換点(パラダイムシフト)にいると言わざるを得ません。

Pb110161_2 私たち森びとの「グリーンリカバリー」は、まさに森づくりであり、全ての生き物の生存を危ぶむ地球温暖化にブレーキをかけるために、今後も愚直に森づくり運動を進めていきます。

20190723_193101_2(東京事務所・小林敬)

2020年7月18日 (土)

生きものたちの命を育む地球を元気にしたい

 私が住んでいる府中市の西府には東京名湧水57選のひとつがある。府中崖線にある貴重な湧水の水量は少ないが、枯渇していない。東京都は、都市化の影響などで枯渇や水質悪化が進んでいる中で、武蔵野台地の末端部にある崖線沿いや多摩丘陵の谷戸等の湧水は貴重な湧水としている。調査活動をしているNPOの役員によると「沸かして飲めば災害時などの飲料水として使用することが出来る」と述べている。森の恵みで育った私は、水を買って飲む時代が来るとは思っていなかった。今は私も水を買って飲んでいるが、時々、足尾の森作業にスタッフが持参する沢水を頂くと、幼い頃の美味しい水の味を思い出す。 

Dscn2802 写真:みどり市・大木さん

「令和2年豪雨」(7月~)は九州地方をはじめ各地で甚大な豪雨災害をもたらした。大切な水が地球温暖化の影響で暖められ、線状降水帯となって豪雨が襲い、尊い命や財産を奪っている。被災した皆さまにお見舞い申し上げます。今回の豪雨は東シナ海の海水温度が上昇し、大量の水蒸気が前線に流入し、記録的な降水量になった。運ばれた水蒸気を水に換算すると毎秒約40万立方㍍で、アマゾン川の約2倍に相当すると報じられている。水は生活に欠かせないものだが、記録的な豪雨は命や財産を奪う恐ろしい水に変身する。自然界からの警告として受け止めたい。

Dscn2034 写真:みどり市・大木さん

 人類が共有すべき天然資源(水)なのだが、日本の美味しい水を買い占める外国の資本が忍び寄っているらしい。何十年、何百年の時間をかけて育てたミネラル豊富な水は、森が作っている。森を護り、育てている日本人の“森に寄り添う文化”は金で独占されてはならないと思う。人間が自然界を支配できるという思い上がりを改め、森に寄り添って生きる社会へ舵を切らなければならない。

Dscn6053 写真:みどり市・大木さん

 新型コロナウイルス感染の猛威で思い知らされていることは、自国ファーストや経済優先ではなく、「生命第一」のための事業を、世界の人々が心をひとつにして連携していくことだと思う。私も、足尾でその情熱を燃やしていく。(森びとAD・松井富夫)

2020年7月10日 (金)

愛する家族のため、世界の人々のために、いのちを守る森づくりを!

 梅雨前線の停滞が長引き、九州地方や本州で豪雨被害が発生しています。
 気象庁は9日、活発な梅雨前線の停滞により北海道や沖縄を除く全国で少なくとも12日まで大雨が続く可能性があると発表しました。降り続く雨で各地の地盤が緩んでいるとして「次に大雨が降ればどこで災害が起きてもおかしくない」と警戒を促しています。
7月3日から9日午後5時までの総降水量は鹿児島、高知、和歌山各県で、1000m超、長野県で900mを超えるところがあるなど記録的な雨となっています。(7/10毎日新聞)

 この豪雨は川を増水させ氾濫。多くの住宅が水に浸かり、未明の増水によって犠牲者が多く発生しました。山の斜面の森や土壌は許容することのできる水量を超え、植林された樹木ごと土砂が崩れ落ち、山の麓の家屋に流入し住民が犠牲になっています。この痛ましい事態に胸が苦しくなります。被災された皆様にお見舞い申し上げると共に、犠牲となられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

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   【7月8日 毎日新聞】

 熊本県南部を襲った猛烈な雨は、九州を東西に横断するように停滞していた梅雨前線に、南西の東シナ海から暖かく湿った空気が流れ込み、西側の海上で積乱雲が発生。前線に沿って「線状降水帯」が形成されたことが原因だといいます。地球温暖化が進めば更に海水温が高くなり、豪雨災害のリスクが高まることは目に見えます。海水温の上昇は日本だけの問題ではなく、世界の問題です。

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   【7月8日 毎日新聞】

 二酸化炭素を大量に吸収し、地球温暖化の抑制に欠かせない存在として「地球の肺」と呼ばれる南米アマゾン川流域に熱帯雨林があり、その広さは550万平方キロにのぼります。  
 現在、そのアマゾンの森林破壊が加速しているといいます。「熱帯雨林の6割を占める南米ブラジルでは、新型コロナウイルス流行の影響で、環境保護当局の警戒が手薄になったすきを突いた違法な開発も加速しているとみられています。ボルソナロ大統領の環境軽視の姿勢が、違法な野焼きや森林伐採、鉱山開発などを助長しているとの指摘もあります。火災による消失も含め熱帯雨林の破壊は深刻さを増し、19年度の破壊面積は1万896平方キロに及び、過去11年間で最悪レベルに達した。」(6/28毎日新聞より)といいます。
 そして、昨年9月から今年1月に発生したオーストラリア火災では10万3千平方キロ(1/11時点、日本の国土面積の約4分の1以上の大きさに匹敵)にも及ぶ森林面積が消失しました。
 「自国ファースト」の結果は、自国民のみならず、世界の人々の生活を脅かせています。今こそ、地球温暖化ストップ!いのちの森づくりへ舵を切らなければなりません。

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 先日、小黒事務局次長からうれしいニュースが飛び込んできました。「ダボス会議」で知られる「世界経済フォーラム」の動画で、当会最高顧問の宮脇昭先生の森づくりが紹介されているということです。『気候変動の秘密兵器は小さな森づくり。宮脇の森は今ではヨーロッパ各地でも数多く作られているのだとか。世界に広がる森づくりの輪。日本の森づくりも負けちゃいられませんね。』と当会HP「森の風だより」で紹介させていただいておりますので、是非ご覧ください。

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 2004年宮脇先生と荒廃した栃木県・足尾銅山跡地の現場に立ち、「一番困難な場所で森づくりが出来れば世界のどこでも森づくりが出来る」と、「いのちを守る本物の森づくり」がはじまりました。40㎝ほどの幼木が現在では12mにも生長し、落石を防ぎ、降雨を葉で受け止め根で蓄え、水源涵養、土砂流出防備林として森の機能を発揮し、多様な生き物が暮らす森へと生長しています。

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 宮脇昭先生は著書『人類最後の日』の末尾に「今こそ、新しい科学、特に生態学的な自然観、知見をもとに、人類生存の母体としての緑—いのちの森―を足もとから、明日に向かって、共に学び、創って戴きたい。君のため、君の愛するご家族のため、日本人のため、七十億人を超えた世界の人々のために、本気で取り組む皆さんとともにいのちのある限り、私は続けます。」と記しています。

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 各県で活躍する森びとインストラクターの皆さん、森とものみなさん。自然災害を防ぎ、多くの人々の命を守るために、地球温暖化防止に向け、山と心に木を植えていきましょう。

理事・清水 卓