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2019年6月

2019年6月15日 (土)

聖火リレーで運んでほしい脱原発

TOKYOU2020オリンピックの聖火リレーは福島第一原発事故処理の前線基地として使われていたJビレッジから出発することが決まった。「復興」オリンピックと銘打ったこの一大イベントによって、原発事故をさっさと終わったことにしたいのであろうと受け取るのは筆者だけなのだろうか。

Photo_4  私の住む伊達市では今、「宮崎・早野(不正)論文」が問題になっている。それは東大名誉教授ら2氏による伊達市民が行った「ガラスバッチ」と呼ばれる個人被曝線量計のデータを使った論文不正・改ざん問題である。

Img_20190531_063408  市は関係者の了解なしにデータを両氏に提供し、そのつじつま合わせのために公式文書も捏造した。両氏は被曝量を三分の一に改ざんしたものを発表した。「最も汚染された地域に70年間住み続けても18ミリシーベルトを超えない」とか「除染は効果がない」といったものである。当時の市長は、「実際の放射性物質を取り除くより“根拠のない感情”こそ除染すべき」として、市の三分の二は除染を行わずに補助金を国に返納した。

P6095908  この「論文」は、原子力規制委員会の放射線審議会が行っていた射線基準を検証する資料に用いられていた。「今までの被曝基準を緩和しても健康に何ら問題ない」だから「原発推進を」という国の政策転換に使われようとしていたのだ。

Photo_5  一市民としてはとても悔しく、怒り心頭だ。〇〇委員会とか、〇〇名誉教授という肩書に流され易い私たち。森びとのブログを観ていると、地球温暖化にブレーキをかける要望書に賛同する国会議員のメッセージが紹介されている。悔しがっているだけでは何も解決しない。諦めずに、世界中の原発・核を無くしたい意思を社会へ、出合った人たちへ発信していかなくてはならない。私は南相馬市で「鎮魂復興市民植樹祭」を応援しているが、その心には「脱原発都市宣言」市民の思いを共有したいというがある。宣言市民と何をなすべきか、を胸に突き付けなければならない梅雨のひと時である。(事務局員・東城敏男)

注 「ガラスバッヂ」:個人放射線被ばく線量計のこと。普通は医療用や原発従事者の被ばく量を測定するために使われています。正面からの線量しか測定しないため実質は6割程度の線量といわれています。

2019年6月 2日 (日)

国有林は国民のいのちの源であり暮らしの基盤です!

1  本日(2日)、南相馬市で7回目の「鎮魂復興市民植樹祭」が成功裏に終わった。最初の植樹祭から植林ボランティアのサポートをさせていただいている当会のメンバーは、今年も力を入れて、“鎮魂・復興そして脱原発”の思いを胸に、参加者と幼木を植えてきた。

3  その笑顔には、今を生きる私たち、未来を生きる次世代の命の基盤であるこの地球を元気にする歓びが溢れているようだ。森びとの皆さん、参加者の皆さん、そして南相馬市市民の皆さん、お疲れ様でした。

2  ところで地球温暖化にブレーキをかける対策は待ったなし!という時なのに、日本政府は国有林の伐採を最長50年間も民間企業に貸し出し、皆伐後の造林の有無は企その業にお任せらしい。新聞報道では、立憲民主党の佐々木さん、小川さんが皆伐後の造林は企業の義務だ!という主張をしてくれているが、その主張を政府は受け入れていないらしい。

20190602_202925   温暖化防止にブレーキをかけている木々(森)の力は、60年間以上も生きている木々よりも若木の方がその吸収力が高いと言われている。この点からすれば二酸化炭素を蓄えている木々を伐採して、暮らしと社会に役立て、皆伐後の地にはふるさとの幼木を植えて太陽のエネルギーを調整してもらいたい。

5  その植林は浅く皿のように根が張る木々よりも、地中深く真直ぐに伸びて大地をガードしてくれるふるさとの木々を植えて、少しぐらいの大雨で土砂が流されないような森に育ててほしい。国の森林政策では同じ失敗を繰り返してほしくない。 

 杉やヒノキなど建築材に優れている木々は、伐採経費が少なくて済む奥山でない放棄地や荒れ地に植えて、何十年後の地域の雇用や暮らしに役立つようにしてほしい。

Photo_3  全ての命のつながりのスタートは森づくりから。この木々たちの葉が太陽のエネルギーを吸収することから食物連鎖が始まる。その頂点で生きているのが私たちだ。 

Photo_2  政治家の皆さん、国有林は国民のいのちの源であり基盤だということを忘れて、企業が金儲けをするためだろうと勘違いされる「国有林野管理経営法」改正案は、”ふるさとの木による造林の義務”が伴うことをお忘れなく。人類の暮らしを脅かしている「恐風」は気ままに吹いているのではなく、人間の暮らし方を問うているメッセージですよ!(理事 髙橋佳夫)

2019年6月 1日 (土)

児童や学生、企業人から教えられた暮らしを変える難しさと大切さ

  5月の後半は、 横浜市の児童と神奈川県愛甲郡の自然のなかで共に遊び、月末は企業の皆さんと「資源と捨てること」についてのワークショップ、翌日は都内の学生さんと消費についてお話する機会を得られました。

P5016628_2  神奈川県愛甲郡愛川町は自然が多く残り、そこで児童と触れ合っていると彼らの好奇心とパワーに刺激を得ました。森の中や野原で出会う草木や、真っ暗な森で周囲を観察する子どもたちの目には常に好奇心が輝いていました。クラスメイトと共に手を繋いで、声を合わせて課題に挑戦した後は、四つ葉のクローバーを探したり、斜面を全力で駆け下りるなど全身で森の空気を感じながら遊びを探していました。夜には真っ暗な森では灯り無しで、足元や周囲に怖いものが無いかどうか注意深く楽しみながらキャンプファイアーへの真っ暗な道を進みました。「危ない!」と注意されがちな事も、大人が静かに見ていれば子ども達は五感すべてを働かして森と遊ぶ事ができるようです。

 また、企業や消費者の方々と、循環型資源利用を考える「530 カンファレンス」という捨てないビジネスの在り方を話し合うイベントへ参加してきました。企業の皆さまとグループセッションを行い、各企業の資源再利用の現対策と課題を話し合い、発表するものでした。

P5016607  3R、5Rは私たちが小学校から教えられてきた資源を捨てない為のキーワードですが、今回様々な企業の「これから出来ること。」として意見が多かったのは企業が大人(消費者)の意識を変えるということでした。安くて簡単に捨てられる物を選ぶ消費者がリユース製品を選ぶにはどんな工夫が必要か、廃棄を減らすモデルを話し合いました。消費者と企業が直接、資源やエネルギー利用についてビジネスの持続性について話す機会が増えれば、私たち消費者が本当に求めているものが伝わります。消費者は企業のファンであり支持者、選挙で言えば有権者です。Friday for Futureで立ち上がる学生さん達に負けない行動力で、声を伝え、社会そのものである私たちが経済も変えてゆく必要があると感じました。 

Img_0468  最後は、学生たちと消費と服飾(アパレル)産業の在り方についてお話する機会がありました。誰が、どんな環境で、どんな賃金で作ったものを私達が買っているのか。消費者の「買った責任」としてどう扱うべきかを、皆さんは本当に真摯に意識しています。衣服の素材に関わらず食べ物も、農薬や殺虫剤を使って土壌の健康を損ないながら作ったものなのか、土壌や微生物、昆虫がより元気になる方法で物作りをするのか、学生たちは社会に求める倫理観と期待を教えてくれました。

Img_0373  個人でできる事と、企業として声を上げることはどちらも必要で、後者には数が必要です。静かにしていては伝わらず、身近な環境から、自分の社会への考えを胸を張って伝える行動が本当の持続可能性に伝わるのだと実感する時間でした。今月は、社会を変革することの難しさを色々な角度から考えることができました。(事務局員 太宰初夏)