森に寄り添って生きていけることが最高の幸せ
私は毎年正月、住居近くの鎌原観音堂で初詣をしています。1780年代に浅間山が噴火して、その犠牲になった村人を祀っている観音堂なので、浅間山の恵みに寄り添って暮らしている一人として手を合わせています。(写真は1月の浅間山です)
私だけでなく世界中の人々は猛烈な台風、豪雨や高潮そして干ばつと大寒波に襲われ、その原因が地球温暖化による海水温度の上昇が原因のひとつである、ということに気が付いています。ところが一昨年の大島町の豪雨による土石流災害、昨年の広島市での土石流災害では、人間の自然の猛威に対する認識の甘さが露呈したのではないかと思っていました。
柳田邦男氏は『毎日新聞』(昨年12月27日付)で、「・・丘陵沿いの谷筋と言われる地域への宅地開発の危険だった。しかし、高度経済成長と都市化の急速な進展の中で、行政や不動産業者はそのような地域のリスクを考慮しないで、宅地造成を進めていった。行政はある程度の規制基準を作っても、宅地開発の急激なペースに対して、災害危険地域の指定と規制の甘さや人手不足などで対応しきれなかった。経済優先のツケが、最近の異常気象で一気にまわってきたのだ」、と述べています。
人間の“欲”が防災意識と自然の猛威に対する先人の教訓たる史実を疎かにしてしまったのです。「日本はどこでどんな地震・津波が起きても不思議ではないという史実」を疎かにしてはなりません。その上、人間は自然の猛威を食い止めることができるという一部科学者の神話に騙されてはならないと思います。
森と生きていく知恵は、自然の猛威は支配できないのであるから、猛威から命を守るために自然の力を借用する、そして私たちは森に寄り添って生きていくしかない、ということではないでしょうか。現状の経済優先の社会システムが継続する以上、地球は温まり、世界各国では意表を突く自然の猛威が荒れ狂うことでしょう。
森(自然)に生かされていることの認識を防災の基本にして、今年も“原発に頼らない森と生きるライフスタイル”を具体的なスタイルに描きたいと思います。全国の“森とも”のライフスタイル案もお寄せください。(高橋佳夫)
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