森の力:クールアイランドと生きるヒントを呼び起こす
久しぶりに「自然教育園」の森を散策した。体調を崩したのでそのリハビリを兼ねて、港区白金台にあるうっそうとした森を軽く歩いてみた。
天気は雨模様だったので、森の中は薄暗く、とても静かであった。お蔭で7千歩を歩くことができ、足の筋肉も鍛えられた。さらに、小鳥たちの囀りや瑞々しい草の葉と小さく可憐な花に気持ちもが癒された。
園内のほゞ全ての草木には名前が書かれた杭が埋めてあり、興味を抱くきっかけをつくってくれる。足尾で13年間育てている“ふるさとの木によるいのちの森”も、こんな森に育ってくれるといいなあー!という気持ちにさせられた。森は不思議な力をもっているものである。
この森には別の「力」もある。近年、5月から真夏日、猛暑日が各地で記録されているが、特に、東京ではヒートアイランド現象(膨大な量の人工排熱とコンクリートやアスファルト表面からの放射熱)によって、これから熱帯夜の日数が増えて今年の夏も寝苦しい日が続きそうだ。
しかし、この森の中では気温が3度~5度低く、昼と夜には風下の住宅地に涼しい風が吹き込むという。この冷却する能力は何と家庭用エアコン約4千台分に相当するという。
約100年前に植えられたと思われる木々たちを見るとその有難さが分かる。ところが近年、その巨木が豪雨と強風、ゲリラ豪雨によって幹が折れたり、根上り倒伏している。倒れた巨木や折れた幹は散策道路から見えるが、その木々たちは新たないのちを育む「力」を草木に吹き込んでいるようだ。改めて、生物社会の循環には無駄がないことを実感した。
(理事 髙橋佳夫・参考資料:『自然教育園ガイドブック』より)。
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