地球の守り神・「悪魔」になってみたい
梅雨入りする直前の福島6月中旬、急激に発達した雷雲が、毎日のようにどしゃぶりの雨を降らせます。「みんな昔の降り方と違うな」と口をそろえて言っています。自分たちをとりまく環境変化に気づいていても、より遠いところで起こっている事であり、私たちの生活の事であることに気づくのは難しいものです。気候変動は、すでに人間の健康や生活の安全安心に深刻な悪影響を与えつつあります。
環境省は「温室効果ガス」がこのまま増え続けていくと、今世紀末には平均気温が2.1~4.0度上がると予想しています。今年もすでに「ゲリラ豪雨」に襲われ始めています。川が氾濫し、住宅は床上浸水、土砂崩れ、交通機関はストップすることを想起し、地球温暖化に向き合う姿勢を改めなければと感じています。
姿勢を改めるきっかけをつくってくれるのが「お人形様」。拝んで何とかなる温暖化ではありませんが、自然に向き合う人間の気持ちが甦ってきます。
福島県の三春町から現在のいわき市平に通じる磐城街道沿いに背丈が四メートルもある「お人形様」が3体祀られています。なぎなた、刀を持ち、両手を広げて通せんぼの仕草をしています。顔は大鬼の形相で、外から悪いものが入ってこないように、にらみをきかせています。3体の表情はそれぞれ違っています。伝承によると、悪疫が流行した際にそれぞれの村に入り込まないよう、悪魔を追い払うという素朴な祈りから「お人形様」を祀ったとされています。面はケヤキの一枚板に一刀彫で仕上げられています。コロナ禍の今、この人形を見つめていると、ひと本来の山の神(自然)への祈りとして、森と暮らしてきた先人の生き方が伝えられている気がします。
写真は船引駅の「お人形様」。お盆や年末年始の帰省、また毎日の通勤・通学などで駅を利用する人の無病息災を願うものです。
私たちは、地球を駆け巡っている異常気象や新型コロナウイルスの猛威を追い払う「悪魔」にならなければならない時です。少しでも多くの方々との出会いをつくりだし、「悪魔」の連帯を求めていきます。(福島県FC 齋藤 章)
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