世界を旅する“小友沼”の渡り鳥
10月の地元紙には「朝空を覆う」「小友沼に渡り鳥2万5千羽」という記事と共に、朝日に照らされて羽ばたいて行く無数の渡り鳥の写真が掲載されていました。小友沼は、秋田県能代市にあり、国内有数の渡り鳥の飛来地として有名な場所です。
渡り鳥は、9月中旬頃から小友沼を経由し、宮城県や新潟県に南下して冬を越し、翌年の3月下旬頃から繁殖地であるロシアのシベリアやカムチャッカなどを目指し北帰行します。その途中で、小友沼で羽を休め、再び、北を目指します。その時も、10万羽もの渡り鳥の勇壮な光景がみられます。11月30日(火)に小友沼に行ってみました。この日は、最高気温、15.1℃で10月~11月上旬の気温となり、冬の能代には珍しく、風もなく穏やかな一日でした。すでに渡り鳥は、南下したようで静かな小友沼になっていました。
周辺のカシワは、特徴である葉を落とさず茶色に色づいていました。また、観察小屋が設営されており、中には入ることは出来ませんでしたが、様々な野鳥の写真が貼ってありました。驚いたのは、その観察小屋の側面に、トンボが数匹へばりつき、貴重な日差しを浴びていたことです。夜の気温は5℃以下となる中、生き延びている姿に感慨を覚えました。寒いとはいえ、温暖化のおかげで命を繋いでいるのだろうと想像しました。小友沼で野鳥の観察活動を行う“おとも自然の会”によると「例年に比べ、マガンは7~10日、ハクガンやハクチョウは20日以上飛来するのが早く、近年の異常気象が影響しているのではないか」とのことでした。
私達の地球温暖化を防ぐ取組みは、人間のためだけでなく、季節を敏感に感じ、何万キロも旅をする渡り鳥やトンボなどの生態系を守るためにも、大切な取り組みだと認識することのできた一日でした。
(秋田県FC:今村 博)
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