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2016年1月

2016年1月25日 (月)

生存の不安定な時代を呼び込む「鬼」を退治

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 まもなく節分である。この時季になると“しもつかれ”を食べる、と言う話しを聞いたことがある。先月その機会があり、“しもつかれ”を初めて食べた。見た目は悪いが、身体に優しく、美味しくご馳走になった。

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 この時季、栃木県北では雪交じりの“那須がおろし”が吹く。幼い時は、この時季に豆蒔きをした。この大豆と室から取り出した野菜(大根、人参)をすり降ろし、油揚げと鮭の頭や骨を鍋に入れ、醤油と酒粕で味付けをしたのが“しもつかれ”だった。一晩ねかせたこの“しもつかれ”は、美味で栃木県の名物。聞くところによれば、古くは江戸時代から飢饉の時に飢えを凌ぐための食べ物で、「救荒食」として使われていたと言われている。

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 2月3日は節分。旧暦では2月4日は立春で新年の始まり。現在の1月1日(元旦)である。節分はその前日だから大晦日にあたり、昔から大事な節目の日として考えられてきた。節分には大豆を蒔くが、これは中国から伝わり、無病息災を祈る意味があるとう。日本は千年以上も前から、災いや病気は「鬼の仕業」とされ、季節の変わり目には「魔(鬼)がくる」と考えられてきた。 

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 この時季は、寒さで身体の免疫力が低下し、風邪等をひきやすい。その魔(鬼)を払い清め、福の神を新しい年に迎え入れるため”節分”に豆(=魔滅)を蒔くようになった。大豆は「畑の肉」、たんぱく質が豊富、空気中の窒素を取れ入れる機能をもっているので痩せた土でも育つ。それを食べれば病気にも強くなると言われている。節分には、「鬼は外―、福は内―」と、無病息災の新年を迎える。

 ところが大豆の多くは輸入品が圧倒的だ。日本の食糧海外依存度は60%以上だから、穀物が外国から日本に運びこまれる過程では、化石燃料が多量に燃焼され、二酸化炭素が排出されている。先人たちの「地産地消」と、無駄をなくした暮らしを現代社会に活かしていれば、どれだけ二酸化炭素排出を抑えられたことか。そんなことを節分前に考えさせられる。 

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 さて、今年の節分ではどんな「鬼」を退治するか。原発再稼働を進める政府と企業、その上、石炭火力発電を増発する企業によって地球温暖化防止対策を本気にやらない鬼、民意を無視して戦争政策を強引に押し付ける鬼を退治しなければならないと思う。

 来月3日は、日本産の大豆を買って、無病息災と平和で安心な暮らしを呼び込む「鬼」を心の中に向かい入れたい。(理事 大野昭彦)

2016年1月 4日 (月)

森の恩恵に支えられている人間の暮らし  

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 暖冬の新年を迎えた。朝6時半頃、森は薄暗く、窓から三日月を観ていると外は寒そうだ。20年以上も標高約1300㍍の森で新年を迎えているが、こんなに暖かい年は初めてだ。とは言っても朝の気温は-10度程になっているが、いつもの時季は-15度程であるから今年は暖かい。

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 寒いと身体を縮めてしまうが、唯一常緑樹のシャクナゲの葉も縮こもる。しかし、朝陽が当たってくると写真の様にシャクナゲも葉を拡げて、嬉しそうに深呼吸をしているようだ。

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 暖冬だからいつもの冬鳥たちには遭えないと思っていたら、ベニマシコが餌台に姿を見せてくれた。遠方より友来る、である。

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 太陽の陽が眩しくなると、小鳥たちが活発に飛びまわる。

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 浅間山は1873年に大噴火した。火砕流などで大勢の村民がその犠牲になった。毎年、その犠牲になった村民の気持ちを忘れまいと、近くの鎌原観音にお参りする。今年は、近くの鎌原神社にもお参りした。

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 この境内には、寿命250年のモミの木、樹齢350年のケヤキの巨木が生きている。案内板によると、昔はモミの木で棺桶を作り、亡骸を土に戻していたという。ケヤキは鎮守の森の主役になって神社を守っていたという。

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 また、神社の入口には1800年代の土蔵がある。異常時の村民共有倉庫らしい。写真の様に土蔵には一切金属は使われていない。材は土と植物だけである。土は植物の葉や枝などを土壌分解動物たちの働きで作られたものだ。

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 2016年は、“ストップ!地球温暖化 原発に頼らない 森と生きる暮らし”を創るアクションのスタート年。人類の責務として、改めて、森に寄生して生かされている冷厳な事実を認め、生存が不安定な時代を迎えないようにしたい。(理事 髙橋佳夫)