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2018年1月

2018年1月29日 (月)

森づくり体験が宿る“森とも”の森に感謝!

早いものであと3日過ぎると2月を迎える。昨日(28日)、2004年から当委員会設立の準備、新宿事務所でその後の運営に携わってきた皆さんと語り合った。その2人である当会のアドバイザー・竹内巧さんと岸井成格理事長は病魔と戦っているので、2人の分まで当時の体験を振り返った。

P1012448  筆者も含め集った方々は来年で全員70歳を過ぎる。“地球温暖化を防ぎたい!”と出発した当会の事業だが、体験を振り返ってみると、想像していた運動と体験は同じではなかった。

P1272619  足尾の場合、樹木は想像していたよりも生長してくれたし、その過程では育樹・育苗作業の大切さを体験した。人の都合に合わせた森づくりでは樹木を元気にさせることができない体験をした。

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P1280178  鹿や猿、ウサギ等に幼木を食べられてしまった後の悔しさ、食べられても翌年には食べられた枝の脇から新芽が顔を出した時の嬉しさ、300段以上の階段を上り下りしながら土や間伐材を運び揚げた苦しさ、共に汗を流したスタッフとの悲しい別れ等を体験した。

P1272588  足尾の森、八幡平の森そして南相馬市の森の防潮堤の森には、植林ボランティアの体験が宿っている。これを“森とも”達と共有していくことが次への豊かな想像へ結びついていく気がする。森と向き合ってくると、自然から、“森とも”からそんな力を授かる。

Pc123177  2018年を迎えて、植林地で眺める風景は“森とも”の心を癒し、想像力を豊かにしてくれると思う。貴重な体験をしてきた岸井さんと竹内さんに、集った森びとからメッセージと写真を送った。(理事 髙橋佳夫)

2018年1月 2日 (火)

足尾・松木村跡の森は心のふるさと

Pc149690  暫く足尾・松木沢の松木村跡地に立たないと気持ちが落ち着かず、身体は鈍っていくようだ。特に、12月~2月の間はそのように感じる。

 足尾の森づくりスタッフは「足尾に入ると気持ちが落ち着く」、「松木沢は第二のふるさとだ」という。あるいは、軽トラで3時間以上かけて足尾入りするスタッフは、「長時間の運転は辛くない」、という。スタッフ達はそれぞれが松木沢の森や自然と向き合う方法を描いて集まってくる。

Pc149681  “気持ちが落ち着く”、“心が安定する”ということはどんな情景をさしているのか考えてみた。

 この時季は獣害対策で柵やネットを補強するが、この作業はかなりの労力を必要とする。600段以上の階段を登り、寒風の中、急斜面での補強作業は半端な仕事ではない。また、啓蟄を過ぎると、苗ポット内の草取り、週一回の撒水そして草刈りが始まる。人間の都合ではなく、草木の都合に合わせた森づくりには自己犠牲が伴うのだ。

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Photo_16  この時季、足尾・松木沢は寒い。その上雪が降り、西北からは寒風が吹きつける。朝、作業小屋の鍵を開けて、薪ストーブに間伐材を入れ、火を付けるまでのひと時、ストーブが暖まるまでに箒で床を掃き、お湯を沸かしてホットコーヒーを飲む準備をしている時が何とも言えない。

Photo_10  スタッフが集まるまでに朝陽に照らされる臼沢の森を双眼鏡で観て、鹿や猿、イノシシ等が侵入していないかチェック、道具や用具を保管しているコンテナの鍵を開け、天気状況を簡単にノートに記入する、この時間がスムーズに過ぎると気持ちは落ち着いてくる。

 誰からに言われてやっているわけではなく、森・自然と向き合う作業をそれぞれのスタッフが描き、話し合って進めていけること、樹木の生長はこうした努力に応えてくれていることを実感させてくれる。

Photo_18  この大地には、私たちの短い森づくりの歴史、それ以前の平穏な生活権を奪ったことに対する村人の悲しみ、怒りの歴史が詰まっている。このような歴史が包含された大地の景色や空気、そして風の音や風に運ばれてくる臭いが身体で感じられることによって、心は安定し、気持ちが落ち着くのかもしれない。

森に入り、樹木たちに触れることは、現代の暮らしと社会変革を考える心のふるさとなのかもしれない。(理事 高橋佳夫)