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2022年3月

2022年3月30日 (水)

私と森をつなぐ40のアクションにLet’s try!

 3月26日に開催された森びとプロジェクト主催の「脱炭素社会の課題を考える3.26シンポジウム」では、林野庁「森林×SDGsプロジェクト」メンバーの皆さんからコンセプトブック「私たちと森のこれから~幸せな未来に向けた5つのアクション~」を作成した思いが紹介されました。「私たちの暮らしが、森や木と関わったら、もっと幸せになれるのではないか」というメンバーの願いが込められていました。

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 Let’s try! 「私と森をつなぐ40のアクション」として、“森を知る・学ぶ”、“森の恵みを楽しむ”、“森や木に触れる”ための具体的な行動を起こすヒントが示され、いくつかの項目にチェックを入れてみました。

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 私の住む下野市(旧国分寺町)に「天平の丘公園」があり、昔、下野国分尼寺(奈良時代)があった場所で、歴史的な史跡の保存と市民が集う場所として桜が植えられ、4月から5月のGW頃まで花まつりが開催され、特に大輪の八重桜が見事で多くの市民が花を愛でに訪れます。

 桜の開花も伝えられたことから、チェックした「森と人の生業や文化との関係を知る。」「近くの公園で木を見る。名前を知る。」「森の中で五感を使って自然を感じて楽しむ。」ために、ぶらりと公園へ散策に出かけました。

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 新型コロナウイルス感染拡大により“天平の花まつり”が今年も中止(3年目)となってしまいましたが、ソメイヨシノや淡墨桜は見ごろとなっています。八重桜の蕾はまだ固いですが開花を待つ準備をしています。

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 白色、薄い桃色、淡い桃色、紅い色など様々な彩りの花が私たちの目を楽しませてくれます。古民家の庭先にはロウバイ、梅、桜が植えられ、3月上旬から花が咲き、小さな子供を連れた家族が花見を楽しんでいました。

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 5分咲きの桜の木の下に、由来を記した看板があり、読んでビックリしました。20年以上前に故角岸幸三さん(元NPO法人森びと副理事長)に案内していただいた盛岡裁判所の庭に咲く「石割桜」(シロヒガン)の子孫が、“雪子”・“霜子”と名付けられ、平成8年にこの地に移植されていました。岩の間から太い幹と大きな枝を伸ばし、枝先まで花を咲かせていました。

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 ハクモクレンも真っ白い花が満開です。2011年3月11日に発生した東日本大震災後に被災地へのボランティア活動に参加した市民が、震災を忘れない祈念樹として植えられたことを知りました。筆者も昨年10月に開催された第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭に参加し、いのちを守る防潮堤に苗木を植えました。まもなく震災発生から11年です。温暖化によって引き起こされる自然災害は場所を問いません。市民の皆さんの絆に胸が熱くなりました。

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 南側には森が広がり、林内に入るとコナラを中心にヤマザクラ、シラカシ、スギ、ヒノキ、シデが空に向かって枝を伸びていました。樹高が12m~15mほどに生長しています。園路が整備され、林床には落ち葉が積もりコナラやシラカシのドングリがたくさん落ちています。中には根を地面に伸ばしている実もありました。

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 森の中央付近には6世紀後半に築造された帆立貝形前方後円墳「オトカ塚古墳」が保存されていました。1500年以上前から営々と受け継がれ、森に寄り添って生きてきた人々の暮らしの跡が、こんな身近な所にあったことにも驚きました。筆者の身近にある歴史・森へのアクションへいざなって下さった「森林×SDGsプロジェクトメンバー」の皆さん、ありがとうございました。

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 国立環境研究所の江守正多さんは、温室効果ガス(CO₂)を排出し続ければ地球全体のシステムを調整する機能の臨界点(ティッピングポイント)を超えてしまい、深刻な被害が私たちの暮らしを脅かすことを伝えています。

 『「脱炭素社会」はしぶしぶ努力して達成できる目標ではない。社会の「大転換」が起きる必要がある。』と、人々の世界観の変化が求められていることが話されました。「石器時代が終わったのは、石が無くなったからではない」という元サウジアラビア石油相の言葉を紹介し、『人類は「化石燃料文明」を今世紀中に卒業しようとしている』と、私たち一人一人がCO₂を出さないのが当たり前の社会を目指して、地球全体のシステムを調整する機能(北極、南極、海洋巡回、大規模森林など)を高めていかなければならないことを教えてくれました。

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 温室効果ガスの吸収源である森と海を元気にするために、私たち森びとは1億本植樹の国民運動をサポートしていきます。

(運営委員会副代表 清水 卓)

2022年3月27日 (日)

森びとシニアの前向きな生き方から学ぶ

 森びとでも昨年秋ごろからZoomを使用しての会議(運営委員会や各県ファンクラブ会議)が主流となりました。新型コロナウイルスの波が繰り返しやってきて、足尾、南相馬、八幡平、荒浜や名取での育樹活動は移動の制限もあり、現場のスタッフ・サポーターは森(杜)に入ることができずにストレスが抱えています。20~30代の若い人からすると、SNSやオンライン会議をすることは簡単であろうが、こと足尾のスタッフ・サポーターは60代~70代が中心です。これまでパソコンでのメールはできましたが、写真をメールに添付することやブログを更新することに果敢にチャレンジしています。現場で直接会って話をすることがベストであることは言うまでありませんが、そのようなことを言ってはいられない現実だからです。かくいう私も初めてZoomを覚えました。画面越しですが、表情やしぐさが分かるのは非常にありがたく、電話にはない意思疎通ができるものとして重宝しています。

Photo_4(写真)目黒のサクラ

 昨日は、森びとでZoomによるオンライン形式でのシンポジウムを開催しました。北は岩手県、南は神奈川県まで森びと各県ファンクラブの皆さんの協力のもと、会議室を借りていただき、そこに参加者を呼び掛けて視聴して下さいました。ご尽力をいただきましたすべての皆さん、ありがとうございました。

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 先日、70歳を超える先輩がZoomを覚えられて、様々なセミナー等に参加している話やマナーを伺いました。また、他の70歳を超える先輩からは「私のパソコン人生はほとんどインターネットとメールだけでしたが、リモートという世界が開かれる機会を与えていただきありがとうございました。使いこなせるように練習いたします」と連絡がありました。

Zoom_2 “サンデー毎日”と謙遜する先輩方が、歩みを止めず、困難に立ち向かい、常に進化されている姿を見て心強く思います。森づくり以外でも若手の私が現状に満足していてはいけないと刺激を受けています。(運営委員・小林敬)

2022年3月21日 (月)

草木の恵みを生活に取り入れられる温暖化対策は待ったなし!

 4ケ月振りに足尾・松木沢に入った今月16日。春の陽気になった都内の草木のように、足尾の木々の新芽の膨らみを楽しみにしていました。もう一方の気持ちは春を待つ木々が寒そうにしているのではないかということでした。Dsc_1442 現地の森の木々は春を待つ冬芽が少しばかり膨らんでいる程度でした。その陰には、森づくりチームの冬の森作業の姿が目に浮かんできました。獣害対策や育樹作業のお陰で雪の多かった冬をのりこえて、木々たちが元気そうでした。Dsc_1443 2月28日、IPCCは5つの温暖化シナリオを公表し、これまでより表現を強めて「人為的な気候変動が自然や人々に広く悪影響と損失・損害を与えている」と警告しました。この警告を読んで、私は、今までの足尾での森づくり活動に何をプラスできるかを考えながら足尾現地に向かいました。Dsc_1427 現地に立っての私の結論は、生活の中での二酸化炭素削減と草木の吸収力を高めることでしかない、それもできるだけ多くの方々と一緒になっての活動にしていくしかないということでした。そこで私は、林野庁が打出した「2050年カーボンニュートラル実現に向けた国民運動」としての10年間で1億本の木を植える運動をサポートできればと思っています。100年以上も生き続けている神宮外苑の木々を伐採して再開発をするという都の事業には驚いていますが、このような気候変動にアクセルを踏む行政にも都民の怒りの声を突き付けていきたいと思います。東京都FC 松井富夫

2022年3月10日 (木)

人類生存の危機に目を向けよ!ウクライナ市民の心に寄り添い大地に木を植える!

 ロシア・プーチン大統領によるウクライナ軍事侵攻により何の罪もない市民の命が奪われている。現在も砲弾によって住居が破壊され多くの幼い命が奪われ続けている。あろうことかロシア軍はウクライナ南東部のザポロジエ原発を攻撃した。この狂気の沙汰は、一歩間違えれば全世界に放射能が飛散し大惨事を招く。

 他方、ウクライナ支援国もロシア軍の侵攻に反対と言いながら軍事物資支援を行い、ウクライナ市民に銃を持たせて戦闘に巻き込み、戦火を拡大させている。最大の自然破壊は戦争であることは歴史が証明している。いかなる理由を述べようとも武力の行使、一切の戦争は絶対にやるべきでない。プーチン大統領率いるロシア軍は即時撤退、ウクライナ・ゼレンスキー大統領も戦闘の即時停止、ウクライナ支援国は武器供与を中止すべきである。 

 私たちは荒廃地となった足尾銅山跡地や八幡平松尾鉱山跡地で森づくりを行っている。失われたその土地本来の木を調査し、土地本来の木を植え、多様な生物が生きる命の森に成長しつつある。木々たちは互いに競争しあい生長するが、そこには互いに我慢し、共生していることが見える。決して殺し合いはしない。人間は、こうした森に寄生する多様な生き物によって作られている社会の一員でしかない。多様な価値観を持ち、文化を創造し、互いを認め合い、我慢しながら生存可能な人間社会を築いているのではないか。 

 ところが、生存基盤である地球が悲鳴を上げている。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は2月28日、世界の33億人~36憶人が対応困難な状況にあると、「気候危機」が一刻の猶予もないほどの深刻さを増していることを示した。戦争などをしている場合ではない。人間は生存可能な地球環境を健全にし、平和な生活スタイルを創造・実践していかなければならない。

 森びとプロジェクトはウクライナ市民の心に寄り添い、連帯し、山と心に木を植えていく! 

 2022年3月10日

   森びとプロジェクト

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2022年3月 5日 (土)

ウクライナ市民との心の連帯を考えて森づくり

 今年は寒く、雪が多いと感じていたら今日は啓蟄。全ての生き物たちが生存ための活動に動き出す。足尾・松木沢の森でも植物が無機物を有機物に変えて草食・肉食動物たちの命の営みを支え、廃棄された有機物を無機物に還元するバクテリア・菌類の循環(連帯)活動が始まる頃になる。食物連鎖の頂点にいる私たちの生存基盤を持続させている生物社会の循環(連帯)活動に感謝する。 Photo 一種類の木だけでは多様な生きものたちの営みが制限・排除されてしまうので、私たちはその土地に合った木を植えている。人間の都合で一種類の木だけを植えると、その場所はその木に占有される。この木が嫌がる菌や虫等が攻撃を仕掛けると、この地は裸地になりかねない。そんな現場を見てきた経験から、荒廃地以前に生えていた木を調べ、棲息地の標高も気にしながら12~13種の木々を植えている。生存を第一に考えると、多様な生物が社会を持続させていることを実感している。2 多様な価値観や文化を有する人間社会も同様だと思うが、ロシア・プーチン大統領は都合の良い言い訳を述べて、ウクライナに軍事侵攻し、市民の命を奪い、生活を脅かしている。プーチン大統領よ!侵攻中止・露軍の即時撤退!ゼレンスキー大統領も戦闘を即時中止!ウクライナ支援国もウクライナへの武器供与中止!と叫んでみても、悔しく悲しい気持ちは虚しくなる。5 世界の潮流は、「民主主義VS専制主義」という対立構図からウクライナ支援が叫ばれていると感じる。一部のテレビ報道を観て感じることは、ウクライナでは18歳から60歳男性の出国禁止を強いられている市民の自由とはどういうことか、火炎瓶や銃を持たされていることを考えると市民の拒否権はあっても良いのではないか、である。「民主主義」社会では当然な考えであり、多様な意見のひとつではないかと思っている。4

3 ウクライナでは、間もなく、温かい陽射しが射しこむ肥沃な地で、自然の恵みと共に生きていける日々が訪れるはずの季節を迎える。世界各国の市民に平和な生活が訪れることを願って、ウクライナ市民との心の連帯を胸に、足尾の地に鍬をいれていきたい。(顧問 高橋佳夫)