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2017年2月

2017年2月27日 (月)

「しもつかれ」 知恵と心がこもった郷土料理

栃木県では2月、「しもつかれ」がよく話題になります。栃木県から茨城県にかけた地域の郷土料理で、多くの家庭が大鍋たっぷりに作ります。小学校の給食にも出ます。日光市では「しもつかれコンテスト」が毎年開催され、今年の鉄人は71歳の男性でした。「7軒食べ歩くと無病息災」と言われています。

20170225_120058伝統ある郷土料理ですが、見た目のせいか、好き/嫌いが分かれます。

「しもつかれ」由来は、江戸時代中期、天明の飢饉にあるとされています。2月の初午の稲荷神社の祭礼のために、“残りもの”で供物を作ったのが始まりだそうです。

・正月以降残った「新巻鮭の頭」

・節分の残りの「豆」

・保存していた「大根と人参」

・神社の使いのキツネの好物の「油揚げ」

・清酒の搾りかすの「酒粕」

20170219_172557_2寒く厳しい暮らしの中で、知恵をはたらかせて作った料理です。

鬼おろしで大根と人参を荒くけずりおろし、具材が柔らかくなるまでじっくり煮こむ間、自分の生活を振り返りました。

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消費者庁の発表によると、日本は年間632万トンもの「食品ロス」(まだ食べられるのに廃棄される食べ物)を出しています。これは飢餓に苦しむ人たちに向けた世界の年間食料援助量の約2倍に相当します。

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「食品ロス」のうち半分は、家庭からの廃棄物が占めているそうです。廃棄の理由は「鮮度の低下・腐った」「消費・賞味期限が過ぎた」という、何とも勿体ないものでした。計算すると、毎日一人あたり茶碗1杯分の食べ物を捨てていると分かり、自分に思い当たり、反省しました。

20170225_141753食べものを尊んだ昔の人の知恵と心を受けついで、食品ロスを出さない暮らしをしよう、と咲き始めの梅に宣言しながら買い物へ。

ここ数日、購入量が減ったと実感しています。

(事務局 唐澤真子)

2017年2月22日 (水)

“鉄は伸び縮み、劣化すれば緩む”、ということを学んでいる鹿たち?

 2月上旬、足尾・臼沢の森で鹿の追い出しを行った。数匹の鹿が柵内に侵入していたので、昨年秋に植えたばかりの幼木が食べられないように、スタッフ8名は必至なって追い出しを行った。

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 臼沢の森の入り口付近の標高は約800㍍、ここから傾斜30度もある斜面に木を植えてきた。この入口付近から登ること約100㍍までの木々は大きく育っているが、林床には草が殆ど生えていない。よって鹿たちは草がよく生えている900㍍以上の地に現れるのだ。枯れ草の根元に生えている僅かな草を探しながら、この草地に植えた幼木の冬芽を一緒に食べてしまう。ゆえに、この時季の鹿追い出しは標高約1千㍍付近まで登り、上から下へ追い込むのである。

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 柵はスチール製で設置してから10年以上も経っている。鹿を追い出していると、驚いたことに20㎝程の四角い柵の目に突撃した若鹿が、2度目の突撃でその柵の目から抜け出してしまったのだ。鹿の胴回りが60㎝以上はあるというのに、目の前で一瞬のうちに柵から逃げ出してしまった。

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 よく、「鹿は学習している」と言われているが、10年以上経ったスチール製の柵は劣化し、力を加えればスチールが緩むということを学習してきたのだ、と思った。人間は、レールを見ても分かるように、鉄の塊でさえ夏には伸び、冬は縮むということ知っているが、鹿たちは、何度か柵に突撃した経験から抜け出せることを学びつつ、他方では、柵に絡まって命を落とし、キツネやツキノワグマ、トンビの餌となってきた仲間たちを忘れていないのではないだろうか。

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 臼沢の森に植林して5月で13年を迎えるが、いつになったらこの木々たちを柵から解放してやれるのかと、考えさせられる。木々は、葉や枝が動物たちに食べられても、動物たちに届かないところの枝や葉で生長できる。これでバランスがとれていると何の問題もないのだが、柵外の地は鹿たちにとっては美味しくない木々が多いらしい。柵の危険を知りつつも、鹿にとっては命を維持するために木々の芽と幼木が植えられている柵内の草地に入り込むのだろう。そのたびに、鹿たちは“劣化しつつある鉄は緩み、伸びる”ということを学んでいるのだろう。生きるための本能なのだろうが、人間にも学ぶところがあるように思う。(理事 髙橋佳夫)