「しもつかれ」 知恵と心がこもった郷土料理
栃木県では2月、「しもつかれ」がよく話題になります。栃木県から茨城県にかけた地域の郷土料理で、多くの家庭が大鍋たっぷりに作ります。小学校の給食にも出ます。日光市では「しもつかれコンテスト」が毎年開催され、今年の鉄人は71歳の男性でした。「7軒食べ歩くと無病息災」と言われています。
伝統ある郷土料理ですが、見た目のせいか、好き/嫌いが分かれます。
「しもつかれ」由来は、江戸時代中期、天明の飢饉にあるとされています。2月の初午の稲荷神社の祭礼のために、“残りもの”で供物を作ったのが始まりだそうです。
・正月以降残った「新巻鮭の頭」
・節分の残りの「豆」
・保存していた「大根と人参」
・神社の使いのキツネの好物の「油揚げ」
・清酒の搾りかすの「酒粕」
鬼おろしで大根と人参を荒くけずりおろし、具材が柔らかくなるまでじっくり煮こむ間、自分の生活を振り返りました。
消費者庁の発表によると、日本は年間632万トンもの「食品ロス」(まだ食べられるのに廃棄される食べ物)を出しています。これは飢餓に苦しむ人たちに向けた世界の年間食料援助量の約2倍に相当します。
「食品ロス」のうち半分は、家庭からの廃棄物が占めているそうです。廃棄の理由は「鮮度の低下・腐った」「消費・賞味期限が過ぎた」という、何とも勿体ないものでした。計算すると、毎日一人あたり茶碗1杯分の食べ物を捨てていると分かり、自分に思い当たり、反省しました。
食べものを尊んだ昔の人の知恵と心を受けついで、食品ロスを出さない暮らしをしよう、と咲き始めの梅に宣言しながら買い物へ。
ここ数日、購入量が減ったと実感しています。
(事務局 唐澤真子)
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