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2018年2月

2018年2月28日 (水)

間もなく聴こえてくる足尾の春の息吹に感謝

 一週間後は啓蟄。足尾も足元から春の音がしている。霜柱が“プシュ!プシュ!”と小さな音を出して溶けだしている。

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P3199800  間もなくすると松木川からはヤナギの蕾のかすかな香りが匂ってくる。そうなるとニホンザルの顔がほころんで見える。

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3  3月の朝、森作業に集うスタッフと待ち合せしていると、朝陽に照らされたヤナギの蕾が淡い黄色に輝き、そこに風が当たると花粉が飛ぶ。遠くのヤナギの枝にはニホンザルがこの蕾を美味しそうに食べている。その顔はほころんで見える。

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5  ところで頭痛薬のアスピリンはヤナギの樹皮が原料だというから、ヤナギは人間にとっても有難い樹木だ。また、ヤナギは雄と雌があるとも言われている。ニホンザルはヤナギの蕾を食べて元気をもらっている恩返しに、雄と雌のヤナギを行き来して受粉の手助けをしているようだ。

Photo_3  ♪銀座の柳・・・♪、“柳の下に・・・”と人間の心も和ませてくれるヤナギだが、人間はどんな恩返しをしているのだろう。遠いアフガニスタンでは、中村哲さんが農民のための用水路の堰にヤナギを植えている。虫たちはこのヤナギたち樹木を元気にさせるために、間もなく動き出してくる。春のいのちの息吹が聴こえてくる日が待ち遠しい。(理事 髙橋佳夫)

2018年2月 1日 (木)

人間の営みは四季の移り変わりがベースになっている?

 北東北に住む私の暮らしの節目は四季の移り変わりで判断しているようなものです。この頃は、3月~4月になっても低温や大雪と吹雪などが襲ってくるので、そんな時は命をどのように守っていくのか、と言ったことを考えたりします。北東北に住む者にとっては大雪や寒風など冬将軍の動きに対しては、まずは暖房器具のチェック、冬用タイヤの交換等を済まし、冬将軍と向き合うほかありません。時には、冬将軍が長期間居座るので、その時は憂鬱になります。

Dscn7767          岩手山

 と言っても春になり、森の樹木たちが芽吹くと雪原の白さに疲れた目が癒され、身体を活発にさせてくれます。若葉が眩しくなると緑の葉は生き物たちの餌になり、生き物たちに欠かせない酸素をも供給してくれます。秋になると葉や樹液を提供するレストランになり、美味しい果実をも食べさせてくれます。役目を終えた落ち葉や枯れ枝はミミズやササラダの餌になり、草木になくてはならない土を作ってくれる土壌分解動物たちの働きがあります。

Cimg3598       旧松尾鉱山廃墟跡

Dscn0111  経済や政治も人間の暮らしと同じように、四季の移り変わりと無関係にそのスケジュールはつくられていない気がします。古代インドのアショーカ王は戦争にあけくれた経験の後に、国民にひとり5本の木を植えさせ、この木は未来の世代が使えるように、自分たちで伐ってはならない、というお触れをだしていたそうです。5本の木とは、1本は食べものになるマンゴーやりんごなどの果樹、1本は木材となる木、1本は薬効のある木、1本は花を咲かせる木、最後の1本は燃料になる木でした。多分、この王は人々の心に、未来の世代を思う種をまいていたのだと思います。

Photo  この話を聞いて「なるほど!」と思い、森びとの“山と心に木を植える”という合言葉の意味をもつと広めなくてはならないと思っています。(事務局・鎌田 恒)