何気なく使っている水の有難さを忘れない生活をいつまでも
10年前の3・11を忘れないようにしよう、と思い、地震で倒れ傷ついた洋服ダンスと食器戸棚を今でもそのまま使い続けている。それを見ると当時の事を思いだす。 当時、一番困ったことは停電、断水だった。コンビニに駆けつけた時には、水や食料品は殆ど無かった。電気ポットに残っていたお湯とカセットコンロでインスタントラーメンを作り、息子と一緒に食べたことは今でも鮮明に覚えている。トイレは、ふろの残り湯を利用できた。翌日から、人生初の給水車待ちの生活となった。
当時のニュースでは、湧き水で多くの人々が救われたことを報道していた。子供の頃は、各家庭には井戸や湧水があって、「水神様」を大事にしていた。正月には、お供え餅を井戸に飾り拝んでいた。 以前、「森びとさん達が植樹をしてくれたお陰で松木川の水が綺麗になり、魚が増えて、釣り好きの私は大喜びです。」、という言葉を聞いて嬉しくなった。15年間、森づくりをしてきたことが釣り人に分かってもらえた気がした。そういえば、これまで松木川では見たことのないカワウ、シラサギが現れるようになった。
これまでは、雨が降ると、岩に僅かに積もっていた土砂が一気に松木川まで流されていた。しかし、草木が増えると、葉と落ち葉のクッションで雨の勢いが弱まり、地表には柔らかに落ちる。浅い土もしっかりと水を溜め、土砂の流出を弱めます。地中にしみ込んだ雨は、ミネラル豊富な水になって沢から川に流れ込む。松木川も自然の循環が甦りつつあるのかもしれない。カワウ、シラサギはそのような自然の循環を感じとっているのかもしれない。命の営みに欠かせない水。これからも森と水の有難さを忘れないようにしたい。(栃木県FC・橋倉喜一)
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