森に生かされている生活を振り返る秋
9月に入り、青空を待ち望んでいるが福島県ではその機会が少ない。雨の日が続いたら急に温度は下がり、秋が一気にやってきた感じ。季節の移り変りが短くなり、それも急激に変化していると思う。
この時季、ヤマグリを拾って、渋を取って甘い生栗を食べていた。実が大きい屋敷栗の大味とは違っていたことを思い出す。小学校の秋の運動会では親が持参してくれた栗ご飯がとても楽しみだった。このヤマグリの幹は腐りづらく長持ちするということで家の土台の材に使われていた。三内丸山の櫓の柱を想像すると先人の知恵が受けつながれていることが分かる。ところが、以前、北海道のヤマグリは枕木に重宝されて乱伐され、材として使えるヤマグリが少なくなってしまったという話を聞いたことがある。強欲はやがて生存を危うくする。
福島県会津地方は降雪の多い地方では、人家を吹雪や着雪から守るために屋敷林が今でも大切にされている。街では、街路樹を植えると落ち葉掃除が大変だ、野鳥や害虫が集まって街が汚れる等で、木々が悪者扱いされている所がある。
「複合災害」という有事の時期、虫の声、秋色の葉の輝き、そして秋の恵みをいただきながら、生存できている足元をみつめあっていきたい。
今年の第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭は10月24日(日)に「市民限定」の規模縮小で開催される。来年は10周年を迎える森の防潮堤の木々。改めて、その生長と森づくり活動の足跡をみつめていきたい。(福島県FC 齋藤 章)
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