太古の昔から植物の助けを借りて生きてきた私たち
新型コロナウイルス「オミクロン株」が急拡大する中、1月27日に政府は「まん延防止重点措置」を34都道府県に適用、期間は2月20日までとしました。栃木県も新規感染者が4日連続で600人を超え過去最多を更新しています。そのため足尾の森作業も、スタッフ・サポーターの大事をとって中止をしました。
(みちくさの庭で雪に埋もれるリンドウ)
先日、毎日新聞(1/27朝刊)で「植物の力でコロナワクチン開発」と報じられていました。それは、「植物から抽出して抗原するもので、低コストで短期間に大量生産、冷蔵輸送が可能。すでに、カナダで承認申請され、日本でも臨床試験を実施中、今春にも厚生労働省に承認申請し、2022年度に実用化を目指す」としています。
(2022年1月27日 毎日新聞朝刊より)
日本でも昔からの知恵として、アオキ、ナンテン、ウメなどが薬として利用されてきました。足尾のクマも冬眠から覚めたら柳の芽を食べると聞きました。鹿や猿も木の皮を剥いで舐めています。
4月頃に広がる田園風景に点々と白い花のコブシの木が目につきます。そのコブシの蕾を干したものが頭痛、歯痛、鼻炎の薬効として用いられてきました。また、ホオノキやヤナギなどの樹皮は喘息や頭痛薬として実用されています。
(松木の杜・コブシの蕾)
(松木の杜・馬酔木)
それは、森と共に暮らしてきた先人たちが「森の恵み」をいただく中で見つけてきた「生きる知恵」なのではないでしょうか。「良薬口に苦し」とも言われますが、苦みや渋み、舌先に感じる痺れ、匂いなど、人間が持つ「五感」も磨き上げてきたのだろうと思います。
(みちくさの庭・ミント)
コロナ禍で人との接触が制限され、ストレスの多くなった現代社会に生きる私たちですが、足尾の森作業に入り、木々に触れ、土を耕していると、普段は気づかない、風に乗って聞こえる沢の音や鳥のさえずり、木の葉や土の匂いなど、感性が研ぎ澄まされてくることを感じます。
(民集の杜・2015年旭川MS会植樹)
目に見えないウイルスの出現は、私たち大人に子や孫と一緒に自然に触れ森を大切にする心を育むことや、未来につながる人間の持続的な生存を可能にする自然環境を健全にしていく事が最も大切なことだと気づかされます。
(臼沢西の植樹地を整備する強者たち)
私たちにとって、「コロナワクチン開発」は、朗報には違いありませんが、人間のいのちの問題なので安全には細心の注意を払って、研究開発を進めて欲しいと願っています。
(運営委員 大野昭彦)
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