森の恵みを現代の暮らしに活かす時代がやってきた
9月下旬、リハビリを兼ねて能登半島を旅した。天空の旅への誘いがいつ来ても悔いのない終活であるようにと、二人で出かけた。できれば森と生きてきた先人の知恵を改めて学びたいと願って北陸の集落を探索した。
合掌造りの集落を歩いているとウダイカンバの葉に似た木が種を付けていたので、葉と実を見ていると通りかかった地元の人から声がかかった。「ここではその木は“テンボウナシ”と言うのだよ!」と教えられた。話を聞いていると、この実は熟すと甘く、集落の人たちは食べていたという。国民宿舎の部屋で調べてみると、その木は「ケンポナシ」という。実は食べられて、酒を飲む前に食べると酒に酔わないというらしい。
塩田では、昔から伝えられている塩づくりを見た。海水を砂地に撒いて、その砂を熱してろ過し、乾かして塩をつくっているが、塩田の脇には薪が積まれていた。薪は海辺の家の後ろの森を育て、冬になると薪づくりが始まるという。
ろ過は藁で編んだむしろが使われている。現代では化学繊維でろ過されるが、むしろにこだわっている。理由は訊けなかったが、二人は“納豆作りでも藁の力を借りるが、塩も多分そうではないか”とおもった。
合掌造りでは土台材はクリの木が使われていた。100年以上前に建てられた豪雪地帯の家の造りだが、全ての材が草木だ。柱などの防虫には囲炉裏で薪を燃やし、その煙が虫を寄せ付けないと同時に、二階の部屋の暖にもなっている。
マンションやビル、新幹線の高架橋、首都高速道路等のコンクリート製建造物の寿命は何年だろう。ニュースでは東海道新幹線、首都高速道路の建て替え工事が報じられている。いずれも東京オリンピック時代に造られた物だから、その寿命は50年程ではないか。
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