住民の暮らしを森が支える防潮堤づくりをやり抜く
今月7日、筆者は南相馬市を訪れた。当会のアドバイザー故・竹内巧さんが津波に耐え抜いたシロダモのどんぐりを拾い、苗を育て、森の防潮堤に植える予定であったが、それは実現しなかった。そのどんぐりを奥様から預かり、足尾でシロダモを育てた足尾スタッフ。
その苗を里帰りさせ、森の防潮堤に植えられなかった故・竹内さんの願いを叶えようと、南相馬市に向かった足尾スタッフの代表たち。
2013年から始まった南相馬市の「鎮魂復興市民植樹祭」。この事業をサポートしている市民応援隊は今年で結成5年を迎えた。言うまでもなく、苗木は植えただけでは草との競争に負けて、衰弱または枯れてしまう。総延長約14㌖の森の防潮堤づくりは、毎年、木を植えるたびに草刈り等の育樹活動が増える。市役所の作業ではとても追いつかない育樹作業をサポートしてきた応援隊。
7日は、市民応援隊の慰労懇談会に足尾スタッフも出席させていただいた。5年間の活動を振り返り、今後も継続される森の防潮堤づくりへ抱負を語りあった。植樹祭毎に増える育樹作業には多くの市民が参加してくれる状況ではないが、応援隊活動を5年間もけん引している胸の内を垣間見ることができた。
“海岸沿いに植えられていた松の幹や根に家屋が壊された反省として、森の防潮堤は深根性の木々が良い”、“原発事故で被災した家族捜索ができなかった悔しさと悲しみを秘めている”、“原発反対と声を挙げていた頃の自分が避難生活を強いられて、自分の生き方にもどかしさをもっている”等々を感じとることができ、この気持ちは風化させてはならないと思った。
懇談会会場からは、森の防潮堤周辺を走っているが、「森を見に来ている市民を目にする」という報告に、会場はシーンとなり、会場には充実感が漂っていた。百年後の命を育む森が愉しみである。ちなみに南相馬市民が消費している電力の70%は再生エネで賄われているそうだ。
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