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2021年12月

2021年12月27日 (月)

森林破壊をなくし、動植物の絶滅を防ぎ、次世代に多様な生態系を残そう!

 英国グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)で、2030年までに森林破壊をなくすとする共同声明が発表されました。「30年までに森林破壊を止める」という声明には、条約に参加する197カ国・地域のうち130カ国・地域以上が参加しました。

 議長国である英国のボリス・ジョンソン首相は「偉大で豊かな生態系は、自然という大聖堂を支える柱であり、地球の肺です。森林を守るだけでなく、その森を確実に取り戻せるように、一緒に取り組んでいきましょう」と呼びかけました。

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 「地球の肺」と言われる世界の森林は、1年間で世界の排出量のおよそ20%にあたる約76億トンの炭素を大気から吸収しています。森林破壊の原因は、牧畜やパーム油生産による熱帯雨林の伐採や農作物生産への転化、紙・パルプの生産、石炭や金属の採掘など、日本をはじめとする世界中の国々で利用されており、私たちの生活と無関係ではありません。

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 温室効果ガス吸収源としての森林であるとともに、地球上に暮らす76億人の25%にあたる16億人以上の人々が多かれ少なかれ生計を森林に頼っています。森林は気候の変動の影響を緩和し、生物の多様性を保護しています。そうした豊かな生態系を守る森林が、毎年約1,300万ヘクタール(東京都約59個分)も失われ、今も森林破壊が続いています。(参考:国連広報センターHP)

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 そして、森林の消失は、多くの生物を絶滅の危機に追いやっていることにも目を向けなければなりません。地球上には、現在確認されているだけでも約175万種の生物が生息しており、まだ知られていない種類も合わせると3,000万種もの生物がいるそうです。しかし、驚くことに年間4万種の生物が絶滅しているといいます。

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 銅山開発、銅の生産のために山の木々が利用され、生産過程で発生した煙害や山火事によって木々を失った足尾の山々は、大雨によって表土が流され“はげ山”となり、鉱毒が下流域の農作物や漁業に大きな被害を与えました。私たち森びとプロジェクトは「人間の壊した自然は、人間の手によって取り戻さなければならない」と、2005年から荒廃した足尾銅山跡地での植樹活動を行ってきました。

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 今年も、コロナ禍での森作業、植樹・育樹活動に、森びとスタッフ・サポーターの皆さんが献身的に参加し、森を育ててくれました。

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 人間はコロナウイルス感染に怯え、人との接触を避けてきましたが、足尾の森で生きる草花や動物たちは、種を残していくために花を咲かせ、アリやハチは花の蜜をいただく代わりに授粉を手伝い、互いの命を繋いで行きます。アナグマは土を掘りアリやミミズを探しています。秋になると雄鹿の鳴き声が谷間に響き雌鹿に求愛をしています。

 木々が生長した植樹地には鳥や風が運んだ種が発芽し、新しい森の住人となり、生態系を豊かにしてくれました。

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 「30年までに森林破壊を止める」共同宣言には日本政府も参加をしています。各国のリーダー達は、人間だけで社会を構成しているわけではなく、森に生きる多くの生物たちと同じ様に生物社会の一員として森に生かされている事を、森づくりの現場に入り、汗を流し、森・生物の声に耳を傾け、気づいてほしいものです。

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 森びとスタッフ・サポーターの皆さん、各県ファンクラブの皆さん、森ともの皆さん。子や孫、次世代に健全な生存基盤と生存可能な地球環境を残していくために、2022年も、山と心に木を植えていきましょう。

(運営委員・清水 卓)

 

 

2021年12月25日 (土)

森に寄り添って生きてきた町民の昔話を伝えたい

 新型コロナに振り回された2021年が、間もなく暮れようとしています。古希を過ぎたせいなのか、一年という時間が瞬く間に過ぎていき、振り返ってみるとこの1年、どんなことをしようとしたのか?頭に浮かんで来ません。早すぎる時間の流れの中で、私の日課は他人(ひと)に促され、波間に漂っているだけではないかと思う時があります。Photo      写真:林子さん
 そんな中で、森作業している私の願いは多くの皆さんに森を眺め、森を歩き、木々に触れ、美味しい空気を胸いっぱい吸ってもらいたいということです。できれば、地域の皆さんの憩いの場にもなってもらえれば申し分ありません。20211219 Dscn7831とくに、足尾町民の憩いの場にできないかと思っています。先日、町民の方とお会いした時、「是非、松木沢に行ってみたいので連れて行って欲しい」との話を受け、私よりもご年配の女性二人を現地に案内しました。大喜びでした。昔はこうだったとの話に花が咲きました。

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 ひとり一人の昔話をその場限りの話とせずに、森から遠ざかった生活をしている方々に、森に寄り添って生きてきた足尾町民の話を広げていける2022年にしたいと思って言います。各県FCの皆さん、健やかな新年をお迎えください。(栃木県FC・橋倉喜一)

2021年12月20日 (月)

地球温暖化に向き合う地域民の心を育みたい

12月に入り、明後日は冬至です。寒さが一段と身に染みる師走になりました。今年の冬は大雪になるとの報道がありますので、雪国の友人たちの生活を思うと、除雪に苦労するのではないかと思ってしまいます。Dsc06049 先日、アメリカでの巨大竜巻被害をテレビで観ていると、人間の技術は自然界の脅威に歯が立たないことを感じています。竜巻発生シーズン外の季節での巨大竜巻襲来は大地とメキシコ湾の海水が温められいること、寒気の流れが影響しているのではないかと思っています。Dsc06048 茨城県内でも竜巻被害は起こりましたが、その大きさと発生率は他人ごとではない気がしています。一年間の生活を振り返ると、ここ10数年は異常な気象の動きを気にしながらの生活が続いていると思います。しかし、多くの方々は安心な生活を求めていくためにはどうすればよいのかという気持ちになっていません。Dsc06047  地域の一部の方々と話していても、不安だけが話されました。県FC結成とその後の少しばかりの森づくり活動を地域の方々と進めてみると、私たちができることを話合うと話が深まります。この歩みを止めてはならないと受け止めています。地球温暖化に向き合う地域民の心得を、少しばかりの森づくりを通じて育んでいかなければと思っています。森びと県FCの皆さん、お世話になりました。健やかな新年を迎えてください。(茨城県FC:済賀正文)

2021年12月16日 (木)

真鶴半島の森の中で”ハチドリの一滴”を決意

 先日、近くの公園を散歩していると、散歩路が銀杏の葉が落ちて黄金色の絨毯のようになっていました。秋の深まりを落ち葉が演出し、冬本番を迎える前の穏やかで暖かなひと時を感じました。1639027720106 神奈川県FCは、先月、「山と心に木を植える」を合言葉にして活動をスタートしました。その一員の私は、「ハチドリのひとしずく」のように、自分にできることを淡々と継続していけることが好きです。1639537912787_dscn0252 そんな気持ちをもって、活動の第一弾として保安林を散策してきました。小田原藩が萱原だった真鶴半島には江戸辞退に植林された15万本の松が魚つき保安林の中に生きています。歴史的には、江戸の大火によって大量の木材が必要になり、伐採後に植えられたそうです。Dscn0250Dscn0251
 この魚つき保安林を散策してきました。360年前に人工的に育てられた森でも、魚つきの森と言われているように、森林がつくりだすミネラルや腐殖酸による栄養塩類の吸収能力が高められ、海の生き物の住みかとなる森(海藻)が育ち、地球のすべての生きものの基盤を健全にしている様子が感じられました。Dscn0254 この森には、スプリンクラーが設置されており、これからも豊かな森を守っていました。改めて森と暮らす大切さを感じました。再スタートをきった神奈川県FCですが、その一人として、待ったなし!の地球温暖化STOPへの暮らしを切り拓いていきたいと思います。以前やっていたどんぐり拾いから苗づくり、そして大地にその苗を植える活動を再スタートさせていきます。この活動に賛同してくれる仲間に呼びかけて、来年の足尾「里親植樹」に参加していく意思が固まった一日でした。

(神奈川FC  鈴木正雄)

2021年12月10日 (金)

花嫁街道整備を通じて温暖化防止へ心をひとつに

勤労感謝の日(11/23)は、暦の上では「小雪」で雪が降り始める頃でしたが、千葉県南房総市では小春日和にめぐまれました。私たちは、新日本百名山の「烏場山」に上る途中の階段が崩れているということで、その階段の補修ができないかと思い、その下見と準備を兼ねて現その場に行ってきました。階段用の間伐材を準備し、本番では作業がしやすいように準備してきました。Dsc_0074 23日の南房総市付近の紅葉はまだ早く、登山道の足元では小さい花が咲き、訪れるハイカーの目を楽しませていました。森の中で間伐材を作っていると、木々の緑が目に優しく、木々から発せられるマイナスイオンと枝が運ぶ風の音で気分が落ち着きました。Dsc_0068Dsc_0077 その上、メジロやウグイスの鳴き声を聴いていると日ごろの疲れが癒されていることが感じます。喧騒な街で生活している私にとっては、森の恵みのパワーが元気の素になることを嬉しく思います。Dsc_0058Dsc_0065 10月に行った地球温暖化にブレーキをかけられないかと行った地域の方々との森作業の意味を来年につなげていきたいと思っています。シニア世代が心をひとつにして、花嫁街道の整備を通じて次世代への恩返しつくりだしたいと思っています。年末から新年にかけても想定外の異常気象の猛威を気にしながら、できることを継続していきたいと思います。各県FCの皆さん、健やかな新年を迎えてください。Dsc_0072
(森びと千葉県ファンクラブ・相川、武田)

2021年12月 9日 (木)

世界を旅する“小友沼”の渡り鳥

 10月の地元紙には「朝空を覆う」「小友沼に渡り鳥2万5千羽」という記事と共に、朝日に照らされて羽ばたいて行く無数の渡り鳥の写真が掲載されていました。小友沼は、秋田県能代市にあり、国内有数の渡り鳥の飛来地として有名な場所です。

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 渡り鳥は、9月中旬頃から小友沼を経由し、宮城県や新潟県に南下して冬を越し、翌年の3月下旬頃から繁殖地であるロシアのシベリアやカムチャッカなどを目指し北帰行します。その途中で、小友沼で羽を休め、再び、北を目指します。その時も、10万羽もの渡り鳥の勇壮な光景がみられます。11月30日(火)に小友沼に行ってみました。この日は、最高気温、15.1℃で10月~11月上旬の気温となり、冬の能代には珍しく、風もなく穏やかな一日でした。すでに渡り鳥は、南下したようで静かな小友沼になっていました。

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 周辺のカシワは、特徴である葉を落とさず茶色に色づいていました。また、観察小屋が設営されており、中には入ることは出来ませんでしたが、様々な野鳥の写真が貼ってありました。驚いたのは、その観察小屋の側面に、トンボが数匹へばりつき、貴重な日差しを浴びていたことです。夜の気温は5℃以下となる中、生き延びている姿に感慨を覚えました。寒いとはいえ、温暖化のおかげで命を繋いでいるのだろうと想像しました。小友沼で野鳥の観察活動を行う“おとも自然の会”によると「例年に比べ、マガンは7~10日、ハクガンやハクチョウは20日以上飛来するのが早く、近年の異常気象が影響しているのではないか」とのことでした。

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 私達の地球温暖化を防ぐ取組みは、人間のためだけでなく、季節を敏感に感じ、何万キロも旅をする渡り鳥やトンボなどの生態系を守るためにも、大切な取り組みだと認識することのできた一日でした。

(秋田県FC:今村 博)

2021年12月 6日 (月)

臼沢の森をさらに生態系豊かな森に育てたい

 臼沢の森を眺めていると、クマが岩の上で休み、イノシシの親子が土の中のミミズを探し、落ち葉の下ではササラダニなど土壌動物たちが落ち葉を食べ土づくりに精を出している様子が目に浮かんできます。

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 生態系が豊かになってきたと感じる足尾の臼沢の森で、気になるところがあります。最初(2005年)に植樹した臼沢斜面の森内には、現在、草や芝類を殆んど見る事が出来ませんが、木々はしっかり根を張り土砂流失や落石を防ぎ生長しています。

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  この場所も植樹(補植)をする前は、芝草(ケンタッキーブルーグラスやウィーピングラブグラス)は生えていました。しかし現在は生えていません。他の斜面や緩斜面には、ヘリコプターによる航空実播工などで散布された芝草が所狭しと生えています。

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 足尾から群馬県方面に向かい、幾つかの山を越えた所にある山が吾妻山で、私が子供頃に住んでいた地域の裏山になります。その里山は、コナラ、クヌギ、ヤマザクラ、エノキ、クリなどで形成されており、薪や炭、茸菌を植え付ける原木として重宝されていました。林床は山芝や腐葉土が豊富で、毎年落ち葉刈りがされても、土壌がむき出しになることはありませんでした。

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 この山では、春は山菜、秋は茸、冬は自然薯と美味しい清水を享受することが出来ました。その里山を振り返ってみると、根の部分は豊かな落ち葉と柔らかい草で覆われており、足尾の臼沢の森の林床とは大きく異なっています。

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 森びとプロジェクトの「生態系調査チーム」に提案し、山芝を植えて林床の変化を観察していきたいと考えています。主木を中心とした三役五役の木々、それらを支える林床の「森」を元気にして、臼沢の森を更に生態系豊かな森へと育てていきたいと思います。(東京FC:松井富夫)

2021年12月 3日 (金)

青空の下で、「命を守るみどりの防潮堤」の生長を観察しました。

 師走となった12月1日、宮城県ファンクラブの仲間達12名で、青空の下、仙台市荒浜と名取市閖上の「いのちの森」の観察会を行いました。

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 2013年に植樹した荒浜の森では、常緑樹を中心に40本の補植を行い、クズのつる刈りと下枝払いを行いました。樹木も成長し、小さいながらも森の防波堤が築かれています。

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 2015年に植樹した名取の森は、今年4回の育樹作業を行いました。200本の補植と除草・つる草刈り・下枝払いなどの森作業を通じて、森に寄り添う暮らしを目指すことや、本物の森を再生し自然災害から命を守ることに、少しでも役に立ってほしいとの願いをファンクラブの仲間達と共有してきました。

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 海岸線に緑豊かな森を蘇えらせ、「命を守るみどりの防波堤」を築いて、防災力を高める機能を発揮できるよう、来年も引き続き育樹作業を継続して、未来に「いのちの森」を残していきたいと思います。

(報告:宮城県FC 林 雄一)