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2021年9月

2021年9月28日 (火)

里の生きものから養い育てられた豊かな感性

Photo_2  住んでいる近くの里山を歩いていると、小さい時の体験や風景が頭をよぎることがある。低地に田畑が広がり、丘陵に二次林があって同じ風景なのだけれども、何か違和感がある。Photo それで一生懸命思い出してみると、小さいころは虫取り、魚取りが中心の日常があった。裏の防火用水で釣りをするとクチボソ、マブナなどが釣れ、水面近くをミズカマキリが泳いでいく。汚れた川にはユスリカの幼虫、アカムシと呼んで釣ってきた魚の餌にしていた。小さな山の麓には湧水があってアカハライモリがたくさん棲んでいた。そこにいろいろなトンボが卵を産みに来ていた。夏休みは猪苗代湖の湖畔に行き、オイカワ、モロコ、タナゴ、ドジョウ、ナマズ、スジエビなどを網ですくった。カブトムシやトノサマバッタ、オケラは捕まえられたが、タガメ、タイコウチ、コオイムシなどは気持ちの悪い存在であった。オケラは学校帰りの田んぼに普通にいて、「〇〇ちゃんのはどのくらい?」と聞くと、捕まえられたオケラは、手のような前足を広げて教えてくれた。初夏のカエルの大合唱と水田一面のヘイケボタルの乱舞、ヒグラシは夏休みの終わりを告げる寂しい鳴き声であった。3 あの頃は生き物の登場で季節を感じていたように思える。もちろん、ワクワクドキドキ感は色々な感性と空想を僕に与えてくれた。それを感じられる歳ではもうないが、仲間がいなくなってしまった寂しさを違和感として感じられたのだと思う。あのワクワクドキドキ感を今の子供たちにも味わって欲しい。便利な世の中の代償として失ったものは大きいと痛感している。(代表 中村幸人)

2021年9月23日 (木)

天空の杜に旅立った宮脇先生に誓った森づくり

 私が宮脇先生に初めてお会いしたのは1994年。現役のとき、JR四ツ谷駅近くで行われた「鉄道沿線の森づくり」会場だった。新生JR東日本の労使の協力で進められたイベントの時でした。Dscn7669 その現場での宮脇先生は、集った人々を見回し、そこで語った時の眼光の鋭さは今も忘れることが出来ません。それから12年~13年経って、再び、私は宮脇先生にお会いしました。森びとインストラクター養成に応募し、その講義で先生は「いのちの森づくり、土地本来の本物の森づくり、死ぬ気でやれ!本物になれ!木は根、根は土がいのちだ!等々を繰り返し、私たちに話しかけていました。Dscn7670 当時の私の姿勢は上部組織の指示を問題なく担っていれはよいということでした。森インストラクター養成も当時の労組からの義務感で手を挙げていたと思います。その私の姿勢は、養成講義で上映された「砂が流れる」(NHK放映)を涙ながらに観て、宮脇先生の言わんとすることが分かる気がしました。その気持ちが私の足尾での森づくりの原動力になっています。Dsc00062 7月16日、天空の杜に旅立った宮脇先生。今月15日の宮脇先生を偲び、先生の遺影の前で、私が誓ったことは、先生の教えに近づき、命ある限り森びと活動を続けていくことでした。(栃木県FC・橋倉喜一)

2021年9月21日 (火)

シニア世代が地域で遺したい持続可能な生存基盤

Dsc05871 蒸し暑い日がいつの間にか長袖シャツを着ないと肌寒いと感じるようになり、野ではヒガンバナが咲き始め、秋の足音が聴こえ始めました。草木は実を付けて、様々な生きものの命を支えているようです。人間社会では、コロナウイルスと向き合う生活と異常気象に怯えるという不安が消えない日が続いています。Dsc05863 Dsc05861 なんとかこの不安から解放できないものかと、茨城県FCの大津さんと私で話を積み重ねています。県では「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」に向けてどんな対策をしているのかと、難しい課題に向き合っています。P8240005 東日本大震災・フクシマ原発事故から10年が過ぎましたが、隣の福島県では放射能汚染でいまだに故郷に帰えれない方々の気持ちになると、原発に頼らない生活ができる環境はどうしたらよいのかと、この難問に頭を悩ましています。Dsc05860 原発に頼らない生活の実現には、私たちの今までの生活観を見直すことから始まると思っていますが、その前提である私たちの生存が危ぶまれている地球を健全にする視点からも原発問題を考えなければならないと思います。Dsc05870 おりしも衆議院選挙を迎えますので、これらの問題に対しては有権者としての向き合い方を地域の方々と話し合う場をつくり出していきたいと話し合っています。(茨城県FC 済賀正文)

2021年9月17日 (金)

山と海に木を植えて、暮らしの基盤を健全にできないか

 シニア世代に入ると時間の経つのが早いと感じる。そんな時、どういう訳か自然と触れ合い、四季の変化を受け止める時間を大切にし、自然の恵みをいただき生きていることの喜びを大切にしたいと思う。2 夏から秋の気配を感じている今、昨年から始めた家庭菜園と海釣りで秋の足音を感じている。夏野菜は大収穫で家族は自然の恵みをいただくことができた。ところが、湘南の海は“磯焼け”になって、海の森が剥げて深刻な環境問題になった。磯焼けの原因は色々なことが考えられるが、海水温の上昇、海流の変化による貧栄養化、ウニ(藻食動物)やアイゴなどの海藻を食べる生物による食害が原因と言われている。Dscn7661 Dscn7667 長年のお付き合いのある県会議員は、変わりゆく沿岸海洋環境を何とかしたいと地元の漁師やダイビングショップの有志でウニの駆除を行い、海藻を増やし、湘南の海を砂漠化させない海藻群の再生に取り組んでいる。Dscn7730

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 豊かな海を維持するためには直接の対応と合わせて、森林が創り出すミネラルや腐殖酸による栄養塩類の吸収能力を高めるなどの機能により、海の生き物の住かとなる海藻を育てている。神奈川県は海あり山ありで、県民はその生態の働きによって生活している。海の森づくりの仲間たちに、“山と心に木を植える”活動を呼びかけてみたい。(神奈川県FC 木之下貴弘)

2021年9月15日 (水)

森に生かされている生活を振り返る秋

Dscn1978  9月に入り、青空を待ち望んでいるが福島県ではその機会が少ない。雨の日が続いたら急に温度は下がり、秋が一気にやってきた感じ。季節の移り変りが短くなり、それも急激に変化していると思う。

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Dscn1971  この時季、ヤマグリを拾って、渋を取って甘い生栗を食べていた。実が大きい屋敷栗の大味とは違っていたことを思い出す。小学校の秋の運動会では親が持参してくれた栗ご飯がとても楽しみだった。このヤマグリの幹は腐りづらく長持ちするということで家の土台の材に使われていた。三内丸山の櫓の柱を想像すると先人の知恵が受けつながれていることが分かる。ところが、以前、北海道のヤマグリは枕木に重宝されて乱伐され、材として使えるヤマグリが少なくなってしまったという話を聞いたことがある。強欲はやがて生存を危うくする。

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Dscn1963  福島県会津地方は降雪の多い地方では、人家を吹雪や着雪から守るために屋敷林が今でも大切にされている。街では、街路樹を植えると落ち葉掃除が大変だ、野鳥や害虫が集まって街が汚れる等で、木々が悪者扱いされている所がある。

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Dscn1962 「複合災害」という有事の時期、虫の声、秋色の葉の輝き、そして秋の恵みをいただきながら、生存できている足元をみつめあっていきたい。

Dscn1477  今年の第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭は10月24日(日)に「市民限定」の規模縮小で開催される。来年は10周年を迎える森の防潮堤の木々。改めて、その生長と森づくり活動の足跡をみつめていきたい。(福島県FC 齋藤 章)

2021年9月12日 (日)

宮脇先生の遺志を貫く心を耕す

 故・宮脇昭先生指導の森づくりは秋田県でも進められています。植樹は小坂鉱山跡地(秋田県鹿角郡小坂町)で行われています。この森づくりは、現在の「DOWAホールディングス株式会社」が主催し、「自然との共生を誓い、また将来を担う子供たちのために持続的な環境型社会の構築に努めていく」という目的に向かって進められています。(2007年建立した記念碑に刻まれている)

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     2019年の植樹祭

 当県FCは2006年からこの森づくりを応援していますが、この2年間はコロナ感染防止のために植樹祭は行われていません。これまで参加してきたFCメンバーからは、「コロナで植樹祭が中止らなっているが、再開されたらまた参加したい」(Iさん)、「子供たちの未来のための植樹が地元で出来ること、この森づくりが地域住民にとって重要な行事になっていることは素晴らしい」(Tさん)という声が私に寄せられています。

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P7240458  秋田FCとしては、待ちの姿勢ではなく、記念碑に刻まれている目的のために、活動の裾野を拡げていくことが求められています。間もなく集うメンバーたちとの話合いでは、シニア世代の心に鞭をいれ、少しでも宮脇先生の遺志を私たちの心に燃やし続けたいと思っています。

P7240465 (秋田県FC 大山博延)

 

2021年9月10日 (金)

自然界の力に励まされて南房総市の森づくり

 8月末、10月の活動計画の現場を見てきました。千葉県南房総市の花嫁街道を歩き、第二展望台付近まで登ってきました。街道の途中には草が腰くらいまで伸び、道に覆いかぶさっていました。一昨年の台風の影響で木が倒れ、木々の隙間から太陽の陽が差し込み、草がイキイキしていました。

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Photo  森の中では、風で落とされた木の実が落ち、そこは陽が地上に差し込んできてことで、実生が元気に育っていました。自然界の元気度とその循環のひとコマをみることができました。また、8月の大雨で道は土砂が流れ、歩きづらくなっていました。

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Photo_3  道の周りの木々は、一昨年の台風で根元から倒れ、台風の猛威の恐ろしさを実感しました。その他に気付いたことは、木の幹に小さな穴から木くずみたいな粉が出ていました。木が衰弱して、そこに虫が穿孔し、その時に出された木くず(粉)ではないかと思いました。この木を見上げると、葉は茶色くなっていました。「ナラ枯れ」調査をした当時のことを思い出しました。

Photo_4  来月は、この現場を見て、街道の補修と温暖化にブレーキをかけていく話合いを計画しています。(千葉県FC・ 武田と相川)

2021年9月 5日 (日)

森の生きものたちの社会を覗いてほしい!

 今月は久しぶりに足尾入りができる。憲法9条を大切にしている皆さんに足尾での森づくりの話をする機会があり、話を聞いてくれた皆さんが現場を見たいというので案内することになった。16年前は草地だった急斜面に森が育っている様子を案内できることが嬉しい。多くのボランティアの森作業、それに応えてくれた土壌分解動物たちとの共同作業の様子を案内したい。

2006     2006年の「臼沢の森」

 15年前、森びとインストラクター養成で教えられた「木は根、根は土が命」、その土は土壌分解動物(ミミズ、ササラダニ類)がつくるという現場をみてもらう。その働きぶりを説明するために、約1坪の庭に穴を掘って生ごみを埋めてみた。どの位で土になるのかを試してみた。8月上旬、深さ10cmの穴に生ごみ入れ、5cm位の土を盛った。2週間後に穴を掘り返してみると、卵の殻や野菜類の形はほとんど見えず、大根の皮のみが残っていた。ミミズが2~3匹見えた。5日後には、土を掘り返すと、殆んど土になっていた。ネズミや他の生きものの動きもあったと思うが、改めて土壌分解動物たちの働きの有難さを実感した。

Photo_3        生ごみ

Photo_4      2週間後の土

Photo_5    足の下で働く土壌分解動物たち

 これからの「臼沢の森」は落ち葉が堆積するシーズンに入る。風に飛ばされる落葉もあるが、足尾に皆さんには、忙しくなる森の生きものたちの社会の様子を描いていただければと願う。その恵みで私たちは生存している。

2021082 (東京FC・松井富夫)

2021年9月 2日 (木)

ヤング世代に助けられながら森の防潮堤用の苗づくり

 先月24日、私たちは南相馬市「鎮魂復興市民植樹祭」に提供するポット苗と、荒浜・名取「いのちの森」に補植するための苗分け・ポット苗づくりをJREU仙台の組合員の協力を得て、403個のポット苗を作りました。

Dsc01056  ドングリ拾い、ポットに種を蒔き、撒水、草取り、ポット分け等の作業をしながら苗木を育てています。冬の寒さや水やりが行き届かず枯れてしまったり、葉に虫がついたりと、苗づくり作業では自然の厳しさを実感しています。

Dsc01062  今年も昨年同様、南相馬市植樹祭は縮小開催となり、ポット苗を送ることはできませんが、名取「いのちの森」の補植がまだまだ必要です。

Dsc01061  ポット苗づくりを通じて、生態系を保つ上で必要な森林を再生し、一本でも多くの木を植えることの大切さを組合員と共有しながら、ポット苗づくりを行うことができました。JREU仙台の皆さん、ありがとうございました。(宮城県FC・林雄一)