森づくりは本当の人生の目的を教えてくれる
職場の先輩がひょんなことから家庭菜園を始めたのは、かれこれ10年ほど前になる。子供に、野菜はどこでできるかわかると訊いた時、子供は「スーパーでしょ」と言われたことから始めたという。今では、市の畑を借りて旬の野菜を育てるほどにまで熱中しているそうだ。きっかけは子供の教育の一環であったのに、そのうちに趣味になった。家庭菜園というのは奥が深いのだろうと思った。失敗も多くあるが、人やインターネットなどで調べて野菜がちゃんと育つように勉強しているという。
私も森びとと出会い、どんぐりを育て森づくりを勉強している。きっかけは職場の先輩に手伝いをお願いされた時。そのときは手伝い程度であったが、どんぐりを育ててみると、空腹感が嬉しく感じた。外で食べる弁当のおいしさが嬉しく感じた。
人間が本来、生きていくために行う「自然に働きかけて恩恵を得る」という身体の働きの嬉しさを森びとを通じて感じている。コナラやミズナラほどの生長には及ばないが、筆者の心の中では”自然と向き合うことの楽しさ”ということが芽生えているようだ。
その上、森づくりでは多くの出会いがあり、11月4日の南相馬市植樹祭では、市職員と出会うことができた。この方は、関西に住んでいたのだが家族を亡くした後、何か社会に役立つことができないかと考え、南相馬市役所で市民生活のと仕事をしている。定年前に地方公務員を退職しての社会への恩返し、という実践性に驚いた。と同時に、素晴らしい人だと思った。こういう方々と森の防潮堤応援ができることが嬉しい。
社会人の仕事とボランティア活動二足のわらじをはいている筆者だが、いつかは南相馬市で出会った方のように、社会に恩返しのできる心を耕していきたい。(事務局 福澤 猛)
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