2021年10月 8日 (金)

実り、収穫、食欲の秋を愉しめることの有難さ

Dscn0458 猛暑が過ぎ去り、寒気が降りてきた秋田の地には秋の気配が漂い始めました。秋と言えば実りの秋、収穫の秋、食欲の秋と食べることばかりが思い浮かびます。私にとっての収穫は森の樹々の恵みです。

Dscn0459 上の写真のように、我が家の屋敷には大粒の栗が今年も実りました。これからがこの恵みをめぐってのバトルがはじまります。虫や動物たちと人間の奪い合いです。美味しものは人間ばかりでなく、他の生きものたちもこのチャンスを逃しません。栗の実に虫が侵入しないための対策をサボると収穫が減ります。少しは薬の力を借りて、美味しくいただきます。Dscn0465 Dscn0464 桜の木に菌を埋めた原木には菌が回り、白くなっています。日陰に置いて、風通しが良ければ1年目でキクラゲが出てきました。冬の鍋の具材として、これからはキクラゲの栄養をいただきます。改めて感じることは、木々の素晴らしさと有難さです。そして人間はそのちょっとした手助けをしているだけで、消費者です。Dscn0457 消費者は生産者の環境を健全なものに持続しなければと思います。Dscn0466上の花はなんの花でしょうか。調べてみてください。(秋田県FC・船木藤典)

 

2021年10月 5日 (火)

森の機能が発揮されるふるさとの木による森を育てたい

 府中の崖線で急傾斜地崩壊区域に指定されている森を歩いた。この地は、過去の洪水で立川崖線と国分寺崖線を古代多摩川が南へと流れを変えて行く過程で削り取られて出来た河岸段丘の崖で、線状に長く続く崖なので「崖線」と呼ばれている。1633344878003 1633344871118 高さ約10㍍、傾斜30度以上ある崖には直根性のケヤキやヒノキ等が適度な間隔で植えられている。樹齢約200年は越えていると思う。キツネノカミソリやエゾエノキやアオキなどの低木と下草(クマワラビやヤマニンジンやコケ類)も生えている。この森は長い年月をかけて補植と手入れがされ、自然の力によって群落が形成され、崖崩れを防止している。1633344865790 1633344971039 この崖線の森を見て、私が森づくりをしている「土砂流出防護保護林」の足尾・「臼沢の森」のことが頭に浮かんできた。幼木を植えて16年が経ち、樹高は10㍍超え、幹の太さは直径10cm以上の立派な木々となり、生態系が豊かになっていることを実感している。しかし、崖線と違うことは下草や低木種の生え方が少ないということ。1633344914248 林野庁の紹介では、土砂流出を防ぐには林床を落ち葉や下草に覆われた状況に保つことが望ましいという。「臼沢の森」の地表は落ち葉で一部覆われているが、下草が豊富ではない。木々が密集しているから陽が当たらないことが影響しているのかと思う。同じ森内で陽が当たっている場所はススキやイネ科の植物が生えている。Photo 世界中で、毎年巨大化している大雨や干ばつ等による災害という中で、県が指定している「土砂流出防護保護林」の足尾・「臼沢の森」。この視点から16年間の森づくりを振り返り、東京都内の森づくりに活かしていきたい。 (東京都・松井富夫)

2021年10月 2日 (土)

近所の散歩で考えたこと

 気が付くと秋を迎え、朝晩肌寒くなることも多くなりました。いつもの年であれば月に1度は東京から足尾に入り、森作業で気分転換を図ったりもできるのですが、今年も昨年に続きコロナが落ち着かず、なんとも窮屈な日々が続いています。

 足尾に入る機会も限られているうえ、不要不急はできるだけ避けるとなると必然近所の散歩の比率が上がります。比較的緑が多いところで、近所の緑で四季も感じることができますが、いろいろと考えさせられるできごとがいくつか重なりました。

 都市の中で400年、農業を続けている古いお屋敷があります。大きなケヤキに守られた美しい屋敷林ですが、初めてそのケヤキが伐採されていました。400年続くお屋敷は広く知られていて、DVDでもその近況を知ることができます。それを見ると、本当に仕方なく伐採したということが伺えます。愛着のあるその木を何故切らなければならなかったか。お年を召した家主の、切株を触りながら寂しそうに話をするシーンを見て、何とかならなかったものかなぁと思ったのは僕だけではないと思います。願わくばこの屋敷も林もこのままずっと残して欲しい。。。


Dsc_0248_5

 すでに住む人の居ない大きな古い屋敷がありました。何やら噂には、昔オオカミ博士が住んでいたとか。大きな森に見えるその場所を久しぶりに通るとすでに跡かたなくマンション建設工事が始まっていて・・・。こちらも後で調べると自治体に寄贈する案が出ていたにもかかわらず、費用等の問題で転売が決まったのだとか。数本だけ残された樹を、マンション側は”ウリ”にしていると噂では聞きました。大方、「私たちはSDG'sに貢献しています。」なんてことを謳うんだろうな(勝手な想像です)。

 毎年見事に花を咲かせる緑道のサクラもあっという間に伐採されました。気候変動の影響も伐採圧に傾いているようです。ソメイヨシノって弱いって聞かされてますし、倒れたら危険、って言われると誰も文句を言えません。近頃の嵐は想定外ですからね。

 枯葉が邪魔だから、虫が嫌いだから、暗闇が危険だから、〇〇を作るから・・・。大きな木も、ゆっくりと時間をかけた緑の循環とそこにある多様性も、壊すのはあっという間。こういうことの積み重ねが、今の人為的な気候変動につながっている気がしてなりません。さてどうしたものか、と立ち止まりつつ、ひとつひとつの命を大切にしていくしかないのだろうな、と改めて思った秋の入り口でした。(運営委員 小黒)

「名取・いのちの森」のヤマグリの恩返し?

 先月29日の天気は秋晴れのもと、私たちは今年4回目の「名取・いのちの森」での育樹作業を行いました。作業は仮払い機による草刈り、つる植物刈りと下枝払い、その後は、30本の補植を行いました。この森作業は今年最後になりますが、締めくくりとしては心地よい汗をかくことができました。Dsc01072

Dsc01066 小さな森の防潮堤に生えている木々で樹高があるのは大人の背の2倍ほどになり、ヤマグリが初めて実を付けてくれました。仲間達からは、「来年は栗拾いができるのではないか」という声が出され、来年は仲間たちと栗拾いを計画したいと思いました。Dsc01069 Dsc01074 10年前の東日本大震災の津波で塩分がしみ込んだ荒れ地になった被害地。そこにふるさとの落葉広葉樹の幼木を植え、毎年、草を刈り、枯れてしまった後には補植し、育てている小さな「いのちの森」。木々の恩返しと思えるヤマグリの恵みを味わえることは、森づくりをすすめてきた私たちにとっては最高の贈り物。来年は、その味を噛みしめながら、私たちは森に支えられて生きていることを改めて実感していきたいと思っています。Dsc01075草刈りと補植をしてくれた宮城県森ともの皆さん、大変ありがとうございました。(宮城県・林 雄一)

2021年9月28日 (火)

里の生きものから養い育てられた豊かな感性

Photo_2  住んでいる近くの里山を歩いていると、小さい時の体験や風景が頭をよぎることがある。低地に田畑が広がり、丘陵に二次林があって同じ風景なのだけれども、何か違和感がある。Photo それで一生懸命思い出してみると、小さいころは虫取り、魚取りが中心の日常があった。裏の防火用水で釣りをするとクチボソ、マブナなどが釣れ、水面近くをミズカマキリが泳いでいく。汚れた川にはユスリカの幼虫、アカムシと呼んで釣ってきた魚の餌にしていた。小さな山の麓には湧水があってアカハライモリがたくさん棲んでいた。そこにいろいろなトンボが卵を産みに来ていた。夏休みは猪苗代湖の湖畔に行き、オイカワ、モロコ、タナゴ、ドジョウ、ナマズ、スジエビなどを網ですくった。カブトムシやトノサマバッタ、オケラは捕まえられたが、タガメ、タイコウチ、コオイムシなどは気持ちの悪い存在であった。オケラは学校帰りの田んぼに普通にいて、「〇〇ちゃんのはどのくらい?」と聞くと、捕まえられたオケラは、手のような前足を広げて教えてくれた。初夏のカエルの大合唱と水田一面のヘイケボタルの乱舞、ヒグラシは夏休みの終わりを告げる寂しい鳴き声であった。3 あの頃は生き物の登場で季節を感じていたように思える。もちろん、ワクワクドキドキ感は色々な感性と空想を僕に与えてくれた。それを感じられる歳ではもうないが、仲間がいなくなってしまった寂しさを違和感として感じられたのだと思う。あのワクワクドキドキ感を今の子供たちにも味わって欲しい。便利な世の中の代償として失ったものは大きいと痛感している。(代表 中村幸人)

2021年9月23日 (木)

天空の杜に旅立った宮脇先生に誓った森づくり

 私が宮脇先生に初めてお会いしたのは1994年。現役のとき、JR四ツ谷駅近くで行われた「鉄道沿線の森づくり」会場だった。新生JR東日本の労使の協力で進められたイベントの時でした。Dscn7669 その現場での宮脇先生は、集った人々を見回し、そこで語った時の眼光の鋭さは今も忘れることが出来ません。それから12年~13年経って、再び、私は宮脇先生にお会いしました。森びとインストラクター養成に応募し、その講義で先生は「いのちの森づくり、土地本来の本物の森づくり、死ぬ気でやれ!本物になれ!木は根、根は土がいのちだ!等々を繰り返し、私たちに話しかけていました。Dscn7670 当時の私の姿勢は上部組織の指示を問題なく担っていれはよいということでした。森インストラクター養成も当時の労組からの義務感で手を挙げていたと思います。その私の姿勢は、養成講義で上映された「砂が流れる」(NHK放映)を涙ながらに観て、宮脇先生の言わんとすることが分かる気がしました。その気持ちが私の足尾での森づくりの原動力になっています。Dsc00062 7月16日、天空の杜に旅立った宮脇先生。今月15日の宮脇先生を偲び、先生の遺影の前で、私が誓ったことは、先生の教えに近づき、命ある限り森びと活動を続けていくことでした。(栃木県FC・橋倉喜一)

2021年9月21日 (火)

シニア世代が地域で遺したい持続可能な生存基盤

Dsc05871 蒸し暑い日がいつの間にか長袖シャツを着ないと肌寒いと感じるようになり、野ではヒガンバナが咲き始め、秋の足音が聴こえ始めました。草木は実を付けて、様々な生きものの命を支えているようです。人間社会では、コロナウイルスと向き合う生活と異常気象に怯えるという不安が消えない日が続いています。Dsc05863 Dsc05861 なんとかこの不安から解放できないものかと、茨城県FCの大津さんと私で話を積み重ねています。県では「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」に向けてどんな対策をしているのかと、難しい課題に向き合っています。P8240005 東日本大震災・フクシマ原発事故から10年が過ぎましたが、隣の福島県では放射能汚染でいまだに故郷に帰えれない方々の気持ちになると、原発に頼らない生活ができる環境はどうしたらよいのかと、この難問に頭を悩ましています。Dsc05860 原発に頼らない生活の実現には、私たちの今までの生活観を見直すことから始まると思っていますが、その前提である私たちの生存が危ぶまれている地球を健全にする視点からも原発問題を考えなければならないと思います。Dsc05870 おりしも衆議院選挙を迎えますので、これらの問題に対しては有権者としての向き合い方を地域の方々と話し合う場をつくり出していきたいと話し合っています。(茨城県FC 済賀正文)

2021年9月17日 (金)

山と海に木を植えて、暮らしの基盤を健全にできないか

 シニア世代に入ると時間の経つのが早いと感じる。そんな時、どういう訳か自然と触れ合い、四季の変化を受け止める時間を大切にし、自然の恵みをいただき生きていることの喜びを大切にしたいと思う。2 夏から秋の気配を感じている今、昨年から始めた家庭菜園と海釣りで秋の足音を感じている。夏野菜は大収穫で家族は自然の恵みをいただくことができた。ところが、湘南の海は“磯焼け”になって、海の森が剥げて深刻な環境問題になった。磯焼けの原因は色々なことが考えられるが、海水温の上昇、海流の変化による貧栄養化、ウニ(藻食動物)やアイゴなどの海藻を食べる生物による食害が原因と言われている。Dscn7661 Dscn7667 長年のお付き合いのある県会議員は、変わりゆく沿岸海洋環境を何とかしたいと地元の漁師やダイビングショップの有志でウニの駆除を行い、海藻を増やし、湘南の海を砂漠化させない海藻群の再生に取り組んでいる。Dscn7730

Dscn7677

 豊かな海を維持するためには直接の対応と合わせて、森林が創り出すミネラルや腐殖酸による栄養塩類の吸収能力を高めるなどの機能により、海の生き物の住かとなる海藻を育てている。神奈川県は海あり山ありで、県民はその生態の働きによって生活している。海の森づくりの仲間たちに、“山と心に木を植える”活動を呼びかけてみたい。(神奈川県FC 木之下貴弘)

2021年9月15日 (水)

森に生かされている生活を振り返る秋

Dscn1978  9月に入り、青空を待ち望んでいるが福島県ではその機会が少ない。雨の日が続いたら急に温度は下がり、秋が一気にやってきた感じ。季節の移り変りが短くなり、それも急激に変化していると思う。

Dscn1958

Dscn1971  この時季、ヤマグリを拾って、渋を取って甘い生栗を食べていた。実が大きい屋敷栗の大味とは違っていたことを思い出す。小学校の秋の運動会では親が持参してくれた栗ご飯がとても楽しみだった。このヤマグリの幹は腐りづらく長持ちするということで家の土台の材に使われていた。三内丸山の櫓の柱を想像すると先人の知恵が受けつながれていることが分かる。ところが、以前、北海道のヤマグリは枕木に重宝されて乱伐され、材として使えるヤマグリが少なくなってしまったという話を聞いたことがある。強欲はやがて生存を危うくする。

Dscn1959

Dscn1963  福島県会津地方は降雪の多い地方では、人家を吹雪や着雪から守るために屋敷林が今でも大切にされている。街では、街路樹を植えると落ち葉掃除が大変だ、野鳥や害虫が集まって街が汚れる等で、木々が悪者扱いされている所がある。

Dscn1953

Dscn1962 「複合災害」という有事の時期、虫の声、秋色の葉の輝き、そして秋の恵みをいただきながら、生存できている足元をみつめあっていきたい。

Dscn1477  今年の第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭は10月24日(日)に「市民限定」の規模縮小で開催される。来年は10周年を迎える森の防潮堤の木々。改めて、その生長と森づくり活動の足跡をみつめていきたい。(福島県FC 齋藤 章)

2021年9月12日 (日)

宮脇先生の遺志を貫く心を耕す

 故・宮脇昭先生指導の森づくりは秋田県でも進められています。植樹は小坂鉱山跡地(秋田県鹿角郡小坂町)で行われています。この森づくりは、現在の「DOWAホールディングス株式会社」が主催し、「自然との共生を誓い、また将来を担う子供たちのために持続的な環境型社会の構築に努めていく」という目的に向かって進められています。(2007年建立した記念碑に刻まれている)

P7240455

     2019年の植樹祭

 当県FCは2006年からこの森づくりを応援していますが、この2年間はコロナ感染防止のために植樹祭は行われていません。これまで参加してきたFCメンバーからは、「コロナで植樹祭が中止らなっているが、再開されたらまた参加したい」(Iさん)、「子供たちの未来のための植樹が地元で出来ること、この森づくりが地域住民にとって重要な行事になっていることは素晴らしい」(Tさん)という声が私に寄せられています。

P7240459

P7240458  秋田FCとしては、待ちの姿勢ではなく、記念碑に刻まれている目的のために、活動の裾野を拡げていくことが求められています。間もなく集うメンバーたちとの話合いでは、シニア世代の心に鞭をいれ、少しでも宮脇先生の遺志を私たちの心に燃やし続けたいと思っています。

P7240465 (秋田県FC 大山博延)