2022年4月 1日 (金)

新年度を迎え、日光板橋城山のこれからを想う!

 今朝、足尾・松木沢の山々は雪に染められていた。冷え込みも厳しく、予報通りの天気でした。

 今日は栃木県ファンクラブのメンバーと、城山の「観桜会」をしに行くことにしました。本当ならば、2年前植樹をしてくれた皆さんや、地域の皆さんと一緒に見たいところですが、新型コロナ感染拡大防止のために諦めました。

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 4人のメンバーは、桜の花に出会える期待を胸に、階段を登って植樹地に着きましたが、ガッカリしてしまいました。早咲きの河津桜は花びらを散らし、それ以外の桜たちは、まだ蕾のままでした。

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 少し気落ちしてしまいましたが、そこは森びと。桜の木の手入れや、まだ小さい広葉樹周辺の手入れ作業を始めました。雪をかぶった日光連山を眺めながら、新鮮な空気を吸い込み、清々しい気分になりました。

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 登山してきた高齢の女性は、「河津桜の咲いてるところを見たわよ! あと4~5年したら綺麗な花を沢山つけてくれるわ!楽しみにしています。それまで生きていなくちゃ!」と笑顔で激励してくれました。

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 この1年、ここ城山で何をしなければいけないのか?県ファンクラブメンバーの頭にいくつか課題が浮かんだ一日でした。草刈りなどの育樹活動、地域の皆さん・子供達との交流、大和木材・福田社長との連携、など温暖化問題を見据えた取り組みが求められます。  

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  「観桜会」が済んだ後、近くの知り合いのレストランで、イノシシ肉入りのカレーランチを食べ、3・26シンポジウムの感想などを出し合いました。途中、線路巡回のJRの皆さんが昼食に立ち寄り、思わぬ出会いもありました。

 今日の参加者は、鎌田、山本、加賀と筆者・橋倉でした。

2022年3月30日 (水)

私と森をつなぐ40のアクションにLet’s try!

 3月26日に開催された森びとプロジェクト主催の「脱炭素社会の課題を考える3.26シンポジウム」では、林野庁「森林×SDGsプロジェクト」メンバーの皆さんからコンセプトブック「私たちと森のこれから~幸せな未来に向けた5つのアクション~」を作成した思いが紹介されました。「私たちの暮らしが、森や木と関わったら、もっと幸せになれるのではないか」というメンバーの願いが込められていました。

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 Let’s try! 「私と森をつなぐ40のアクション」として、“森を知る・学ぶ”、“森の恵みを楽しむ”、“森や木に触れる”ための具体的な行動を起こすヒントが示され、いくつかの項目にチェックを入れてみました。

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 私の住む下野市(旧国分寺町)に「天平の丘公園」があり、昔、下野国分尼寺(奈良時代)があった場所で、歴史的な史跡の保存と市民が集う場所として桜が植えられ、4月から5月のGW頃まで花まつりが開催され、特に大輪の八重桜が見事で多くの市民が花を愛でに訪れます。

 桜の開花も伝えられたことから、チェックした「森と人の生業や文化との関係を知る。」「近くの公園で木を見る。名前を知る。」「森の中で五感を使って自然を感じて楽しむ。」ために、ぶらりと公園へ散策に出かけました。

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 新型コロナウイルス感染拡大により“天平の花まつり”が今年も中止(3年目)となってしまいましたが、ソメイヨシノや淡墨桜は見ごろとなっています。八重桜の蕾はまだ固いですが開花を待つ準備をしています。

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 白色、薄い桃色、淡い桃色、紅い色など様々な彩りの花が私たちの目を楽しませてくれます。古民家の庭先にはロウバイ、梅、桜が植えられ、3月上旬から花が咲き、小さな子供を連れた家族が花見を楽しんでいました。

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 5分咲きの桜の木の下に、由来を記した看板があり、読んでビックリしました。20年以上前に故角岸幸三さん(元NPO法人森びと副理事長)に案内していただいた盛岡裁判所の庭に咲く「石割桜」(シロヒガン)の子孫が、“雪子”・“霜子”と名付けられ、平成8年にこの地に移植されていました。岩の間から太い幹と大きな枝を伸ばし、枝先まで花を咲かせていました。

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 ハクモクレンも真っ白い花が満開です。2011年3月11日に発生した東日本大震災後に被災地へのボランティア活動に参加した市民が、震災を忘れない祈念樹として植えられたことを知りました。筆者も昨年10月に開催された第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭に参加し、いのちを守る防潮堤に苗木を植えました。まもなく震災発生から11年です。温暖化によって引き起こされる自然災害は場所を問いません。市民の皆さんの絆に胸が熱くなりました。

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 南側には森が広がり、林内に入るとコナラを中心にヤマザクラ、シラカシ、スギ、ヒノキ、シデが空に向かって枝を伸びていました。樹高が12m~15mほどに生長しています。園路が整備され、林床には落ち葉が積もりコナラやシラカシのドングリがたくさん落ちています。中には根を地面に伸ばしている実もありました。

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 森の中央付近には6世紀後半に築造された帆立貝形前方後円墳「オトカ塚古墳」が保存されていました。1500年以上前から営々と受け継がれ、森に寄り添って生きてきた人々の暮らしの跡が、こんな身近な所にあったことにも驚きました。筆者の身近にある歴史・森へのアクションへいざなって下さった「森林×SDGsプロジェクトメンバー」の皆さん、ありがとうございました。

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 国立環境研究所の江守正多さんは、温室効果ガス(CO₂)を排出し続ければ地球全体のシステムを調整する機能の臨界点(ティッピングポイント)を超えてしまい、深刻な被害が私たちの暮らしを脅かすことを伝えています。

 『「脱炭素社会」はしぶしぶ努力して達成できる目標ではない。社会の「大転換」が起きる必要がある。』と、人々の世界観の変化が求められていることが話されました。「石器時代が終わったのは、石が無くなったからではない」という元サウジアラビア石油相の言葉を紹介し、『人類は「化石燃料文明」を今世紀中に卒業しようとしている』と、私たち一人一人がCO₂を出さないのが当たり前の社会を目指して、地球全体のシステムを調整する機能(北極、南極、海洋巡回、大規模森林など)を高めていかなければならないことを教えてくれました。

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 温室効果ガスの吸収源である森と海を元気にするために、私たち森びとは1億本植樹の国民運動をサポートしていきます。

(運営委員会副代表 清水 卓)

2022年3月27日 (日)

森びとシニアの前向きな生き方から学ぶ

 森びとでも昨年秋ごろからZoomを使用しての会議(運営委員会や各県ファンクラブ会議)が主流となりました。新型コロナウイルスの波が繰り返しやってきて、足尾、南相馬、八幡平、荒浜や名取での育樹活動は移動の制限もあり、現場のスタッフ・サポーターは森(杜)に入ることができずにストレスが抱えています。20~30代の若い人からすると、SNSやオンライン会議をすることは簡単であろうが、こと足尾のスタッフ・サポーターは60代~70代が中心です。これまでパソコンでのメールはできましたが、写真をメールに添付することやブログを更新することに果敢にチャレンジしています。現場で直接会って話をすることがベストであることは言うまでありませんが、そのようなことを言ってはいられない現実だからです。かくいう私も初めてZoomを覚えました。画面越しですが、表情やしぐさが分かるのは非常にありがたく、電話にはない意思疎通ができるものとして重宝しています。

Photo_4(写真)目黒のサクラ

 昨日は、森びとでZoomによるオンライン形式でのシンポジウムを開催しました。北は岩手県、南は神奈川県まで森びと各県ファンクラブの皆さんの協力のもと、会議室を借りていただき、そこに参加者を呼び掛けて視聴して下さいました。ご尽力をいただきましたすべての皆さん、ありがとうございました。

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 先日、70歳を超える先輩がZoomを覚えられて、様々なセミナー等に参加している話やマナーを伺いました。また、他の70歳を超える先輩からは「私のパソコン人生はほとんどインターネットとメールだけでしたが、リモートという世界が開かれる機会を与えていただきありがとうございました。使いこなせるように練習いたします」と連絡がありました。

Zoom_2 “サンデー毎日”と謙遜する先輩方が、歩みを止めず、困難に立ち向かい、常に進化されている姿を見て心強く思います。森づくり以外でも若手の私が現状に満足していてはいけないと刺激を受けています。(運営委員・小林敬)

2022年3月21日 (月)

草木の恵みを生活に取り入れられる温暖化対策は待ったなし!

 4ケ月振りに足尾・松木沢に入った今月16日。春の陽気になった都内の草木のように、足尾の木々の新芽の膨らみを楽しみにしていました。もう一方の気持ちは春を待つ木々が寒そうにしているのではないかということでした。Dsc_1442 現地の森の木々は春を待つ冬芽が少しばかり膨らんでいる程度でした。その陰には、森づくりチームの冬の森作業の姿が目に浮かんできました。獣害対策や育樹作業のお陰で雪の多かった冬をのりこえて、木々たちが元気そうでした。Dsc_1443 2月28日、IPCCは5つの温暖化シナリオを公表し、これまでより表現を強めて「人為的な気候変動が自然や人々に広く悪影響と損失・損害を与えている」と警告しました。この警告を読んで、私は、今までの足尾での森づくり活動に何をプラスできるかを考えながら足尾現地に向かいました。Dsc_1427 現地に立っての私の結論は、生活の中での二酸化炭素削減と草木の吸収力を高めることでしかない、それもできるだけ多くの方々と一緒になっての活動にしていくしかないということでした。そこで私は、林野庁が打出した「2050年カーボンニュートラル実現に向けた国民運動」としての10年間で1億本の木を植える運動をサポートできればと思っています。100年以上も生き続けている神宮外苑の木々を伐採して再開発をするという都の事業には驚いていますが、このような気候変動にアクセルを踏む行政にも都民の怒りの声を突き付けていきたいと思います。東京都FC 松井富夫

2022年3月10日 (木)

人類生存の危機に目を向けよ!ウクライナ市民の心に寄り添い大地に木を植える!

 ロシア・プーチン大統領によるウクライナ軍事侵攻により何の罪もない市民の命が奪われている。現在も砲弾によって住居が破壊され多くの幼い命が奪われ続けている。あろうことかロシア軍はウクライナ南東部のザポロジエ原発を攻撃した。この狂気の沙汰は、一歩間違えれば全世界に放射能が飛散し大惨事を招く。

 他方、ウクライナ支援国もロシア軍の侵攻に反対と言いながら軍事物資支援を行い、ウクライナ市民に銃を持たせて戦闘に巻き込み、戦火を拡大させている。最大の自然破壊は戦争であることは歴史が証明している。いかなる理由を述べようとも武力の行使、一切の戦争は絶対にやるべきでない。プーチン大統領率いるロシア軍は即時撤退、ウクライナ・ゼレンスキー大統領も戦闘の即時停止、ウクライナ支援国は武器供与を中止すべきである。 

 私たちは荒廃地となった足尾銅山跡地や八幡平松尾鉱山跡地で森づくりを行っている。失われたその土地本来の木を調査し、土地本来の木を植え、多様な生物が生きる命の森に成長しつつある。木々たちは互いに競争しあい生長するが、そこには互いに我慢し、共生していることが見える。決して殺し合いはしない。人間は、こうした森に寄生する多様な生き物によって作られている社会の一員でしかない。多様な価値観を持ち、文化を創造し、互いを認め合い、我慢しながら生存可能な人間社会を築いているのではないか。 

 ところが、生存基盤である地球が悲鳴を上げている。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は2月28日、世界の33億人~36憶人が対応困難な状況にあると、「気候危機」が一刻の猶予もないほどの深刻さを増していることを示した。戦争などをしている場合ではない。人間は生存可能な地球環境を健全にし、平和な生活スタイルを創造・実践していかなければならない。

 森びとプロジェクトはウクライナ市民の心に寄り添い、連帯し、山と心に木を植えていく! 

 2022年3月10日

   森びとプロジェクト

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2022年3月 5日 (土)

ウクライナ市民との心の連帯を考えて森づくり

 今年は寒く、雪が多いと感じていたら今日は啓蟄。全ての生き物たちが生存ための活動に動き出す。足尾・松木沢の森でも植物が無機物を有機物に変えて草食・肉食動物たちの命の営みを支え、廃棄された有機物を無機物に還元するバクテリア・菌類の循環(連帯)活動が始まる頃になる。食物連鎖の頂点にいる私たちの生存基盤を持続させている生物社会の循環(連帯)活動に感謝する。 Photo 一種類の木だけでは多様な生きものたちの営みが制限・排除されてしまうので、私たちはその土地に合った木を植えている。人間の都合で一種類の木だけを植えると、その場所はその木に占有される。この木が嫌がる菌や虫等が攻撃を仕掛けると、この地は裸地になりかねない。そんな現場を見てきた経験から、荒廃地以前に生えていた木を調べ、棲息地の標高も気にしながら12~13種の木々を植えている。生存を第一に考えると、多様な生物が社会を持続させていることを実感している。2 多様な価値観や文化を有する人間社会も同様だと思うが、ロシア・プーチン大統領は都合の良い言い訳を述べて、ウクライナに軍事侵攻し、市民の命を奪い、生活を脅かしている。プーチン大統領よ!侵攻中止・露軍の即時撤退!ゼレンスキー大統領も戦闘を即時中止!ウクライナ支援国もウクライナへの武器供与中止!と叫んでみても、悔しく悲しい気持ちは虚しくなる。5 世界の潮流は、「民主主義VS専制主義」という対立構図からウクライナ支援が叫ばれていると感じる。一部のテレビ報道を観て感じることは、ウクライナでは18歳から60歳男性の出国禁止を強いられている市民の自由とはどういうことか、火炎瓶や銃を持たされていることを考えると市民の拒否権はあっても良いのではないか、である。「民主主義」社会では当然な考えであり、多様な意見のひとつではないかと思っている。4

3 ウクライナでは、間もなく、温かい陽射しが射しこむ肥沃な地で、自然の恵みと共に生きていける日々が訪れるはずの季節を迎える。世界各国の市民に平和な生活が訪れることを願って、ウクライナ市民との心の連帯を胸に、足尾の地に鍬をいれていきたい。(顧問 高橋佳夫)

2022年2月24日 (木)

「吉田類のにっぽん百低山」撮影のサポートをしました

 大雪による生活被害が報道されているなかで気が引けますが、私の住む千葉県南房総半島は春です。地域では彼岸桜の花びらが舞い、道端にはスミレが咲き、フキノトウは早春の香りを放っています。Photo 先日(21日)、「吉田類のにっぽん百低山」というテレビ番組の撮影のサポートする機会がありました。案内したのは「花嫁街道」を登って、烏場山(266㍍)迄です。Photo_2  同行したのは、吉田類さんと木更津在住の女優・小野真弓さんと撮影スタッフでした。花嫁街道は45年ほど前から町の有志が整備しているコースで、海辺の集落と山間部の集落を結ぶ生活道路でした。昔の街道では、両集落間で花嫁が嫁ぐ行列ができたと言われています。その後の道は荒れ果てましたが、町の有志が整備をしてきました。Photo_3 Photo_4  お二人は、2020年に猛威をふるった台風15号で根こそぎ倒れた木や折れた幹に驚き、天然のシイタケを手に取るなどして感動していました。また、江戸時代から祀られている馬頭観音と地域の人々の生活を振り返っているようでした。Photo_5  見晴らし台では、先日、当県ファンクラブとJREU千葉のシニアが作ったベンチに座って、海や富士山を観ながらお二人は昼食を楽しんでいるようでした。撮影はドローンを使っていましたので、いつもと違った角度から花嫁街道からの風景が観られるのではないかと思っています。番組の放映を楽しみに待ちながら、“山と心に木を植える”活動を元気にしていきたいと思います。現地では皆さんをお待ちしています。是非、「花嫁街道」を歩いてみてください。(千葉県FC代表 相川好夫)

2022年2月12日 (土)

近所の草木に元気をもらって早春の森作業

Dsc06077 立春が過ぎましたので春の足音が聴こえるかと思いながら、今月8日、森びと茨城県FCは動き出しました。副代表・大津さんがお世話になっている利根町の根本寺裏山の環境整備を行いました。Dsc06071 Dsc06073 Dsc06072 Dsc06070 天気は晴れ、竹藪の竹を伐り出し、運搬し易い長さに整えていくと身体が暖かくなって気分は春の作業を行っているようでした。仁平さんは「久しぶりに体を動かすので気持ちが良い」とニコニコしていました。一方の大津さんは、軽快に竹を伐っていました。Dsc06075 この地は昨年も竹藪を整えていた所でしたので、藪に覆われていたモミジは元気を取り戻してくれるように感じました。少しでも多くの木を元気にして、少しでも多くの木を植えていきたいと思いながらの作業でした。早めの昼食を摂り、隣街の牛久市の「牛久自然観察の森」を散策しました。この森は、昨年足尾(「みちくさ」)を訪れた牛久市役所職員が作られたと聞いていましたので、とても楽しみにしていました。Dsc06074_2  散策は約2時間でしたが、森の中に入るとシラカシ、ケヤキ、針葉樹等の木々が混植の状態の森になっていました。落ち葉を踏みしめて散策をしていると、とても心が落ち着きました。森の出口付近では梅が白い花を咲かせていました。花に顔を近づけると、私の身体のなかには春を感じさせてくれました。春の足音が聴こえてきたひと時でした。Dsc06076 コロナ過の中で我慢と自粛の生活が続いてストレスが溜まりがちですが、近くの公園の草木は私達の心身を癒してくれています。(茨城県FC 済賀正文)

2022年2月 6日 (日)

日本でも”冬の嵐”と向き合う対策と心構えは?

Photo_3 「冬の嵐」が米国民の生活を脅かしている。私の記憶では、「冬の嵐」は毎年、米国で大暴れしている。日本でも、今年の冬は中国地方から北海道にかけて寒波が住民の生活を苦しめている。以前は「爆弾低気圧」と言っていたように思うが、その要因は北極域上空の気流が乱れていることにあるようだ。私たちも、アメリカの「冬の嵐」対策と心構えを固めていかなければならないと思っている。Photo 北極と南極の白い氷表面は太陽の熱の90%を宇宙に返しているが、氷が溶けて、白から暗い色に変わると、反射する熱よりも吸収する熱の方が多くなる。分かり易く言えば、地球の冷却装置が暖房装置に変化している。2020年、シベリアの一部では最高気温が38℃を記録し、北極圏の泥炭地では炎々と燃えた火災も発生した。世界の科学者は、15年~30年後には北極海の夏の海洋が消滅するペースで溶解がすすんでいると言う。(参考資料:『2030未来への分岐点』NHK出版)Photo_2  地球環境の巨大で大切な調整システムのひとつである北極の氷が、これまで以上に太陽の熱を吸収することのない環境にしなければと思う。私たちが地球で生存していくためにはどんなことがあっても冷却装置を壊して気ならない。その責務を果たさなければと、今年も“山と心に木を植えて”いきたい。(顧問 高橋佳夫)

2022年1月29日 (土)

太古の昔から植物の助けを借りて生きてきた私たち

 新型コロナウイルス「オミクロン株」が急拡大する中、1月27日に政府は「まん延防止重点措置」を34都道府県に適用、期間は2月20日までとしました。栃木県も新規感染者が4日連続で600人を超え過去最多を更新しています。そのため足尾の森作業も、スタッフ・サポーターの大事をとって中止をしました。

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(みちくさの庭で雪に埋もれるリンドウ)

 先日、毎日新聞(1/27朝刊)で「植物の力でコロナワクチン開発」と報じられていました。それは、「植物から抽出して抗原するもので、低コストで短期間に大量生産、冷蔵輸送が可能。すでに、カナダで承認申請され、日本でも臨床試験を実施中、今春にも厚生労働省に承認申請し、2022年度に実用化を目指す」としています。

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(2022年1月27日 毎日新聞朝刊より)

 日本でも昔からの知恵として、アオキ、ナンテン、ウメなどが薬として利用されてきました。足尾のクマも冬眠から覚めたら柳の芽を食べると聞きました。鹿や猿も木の皮を剥いで舐めています。

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 4月頃に広がる田園風景に点々と白い花のコブシの木が目につきます。そのコブシの蕾を干したものが頭痛、歯痛、鼻炎の薬効として用いられてきました。また、ホオノキやヤナギなどの樹皮は喘息や頭痛薬として実用されています。

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 (松木の杜・コブシの蕾)

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 (松木の杜・馬酔木)

 それは、森と共に暮らしてきた先人たちが「森の恵み」をいただく中で見つけてきた「生きる知恵」なのではないでしょうか。「良薬口に苦し」とも言われますが、苦みや渋み、舌先に感じる痺れ、匂いなど、人間が持つ「五感」も磨き上げてきたのだろうと思います。

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(みちくさの庭・ミント)


 コロナ禍で人との接触が制限され、ストレスの多くなった現代社会に生きる私たちですが、足尾の森作業に入り、木々に触れ、土を耕していると、普段は気づかない、風に乗って聞こえる沢の音や鳥のさえずり、木の葉や土の匂いなど、感性が研ぎ澄まされてくることを感じます。

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(民集の杜・2015年旭川MS会植樹)

 目に見えないウイルスの出現は、私たち大人に子や孫と一緒に自然に触れ森を大切にする心を育むことや、未来につながる人間の持続的な生存を可能にする自然環境を健全にしていく事が最も大切なことだと気づかされます。

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(臼沢西の植樹地を整備する強者たち)

 私たちにとって、「コロナワクチン開発」は、朗報には違いありませんが、人間のいのちの問題なので安全には細心の注意を払って、研究開発を進めて欲しいと願っています。

(運営委員 大野昭彦)